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    全大教からのお知らせ

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                「③会議、学習会、行動等」「④専門部」「⑤官公庁(文科省、財務省等)」「⑥国大協」
     
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    2017/04/24

    全大教中央執行委員会見解

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    「専門職大学」創設のための学教法一部改正に反対する
    2017年4月20日
    全国大学高専教職員組合中央執行委員会


     
    去る3月10日、政府は「専門職大学」を創設するための学校教育法の改正案を第193通常国会に提出した。
     「専門職大学」は、2014年に安倍首相がOECD閣僚理事会で講演し、従来の日本の教育を「みんな横並び、単線型の教育ばかり」「理系学生の半分以上が、工学部の研究室に入る。こればかりを繰り返してきた」「そうしたモノカルチャー型の高等教育では斬新な発想は生まれません」などと批判したうえで、「学術研究を深めるのではなく、もっと社会のニーズを見据えた、もっと実践的な、職業教育を行う。そうした新たな枠組みを、高等教育に取り込みたいと考えてい」るとしたことに端を発し、文部科学省に置かれた有識者会議、中央教育審議会で検討され、2016年5月の中央教育審議会答申『個人の能力と可能性を開花させ、全員参加による課題解決社会を実現するための教育の多様化と質保証の在り方について』で設置の方向が答申されたものである。
     「専門職大学」の創設には、次に掲げるいくつもの大きな問題があり、賛成できるものではない。こうした大きな学制改革を行うにあたっては、より慎重かつ幅広い国民的議論が必要であり、学校教育法改正案は今国会で拙速に議決されるべきではなく、政府はこれを一旦撤回すべきである。

    1. 専門職大学という新たな制度を設けることに合理的な必要性がない
     そもそも、高等教育を含むあらゆる学校教育は職業準備教育という側面をもち、大学は幅広い教養と深い専門的知識・能力に支えられた自立した職業人の育成を課題としてきた。
     ところが、今回提案されている「専門職大学」は、職業教育にきわめて特化した高等教育機関の創設に向けた論議が進められている。有識者会議及び中教審の審議経過を見ると、検討されている高等教育機関では人文・社会科学などの教養教育が切り捨てられ、教育内容が著しく職業技術訓練に特化される。これでは、若者が高等教育を通じて深く幅広い教養と専門的知識・能力を身につけ、その成果を自らの職業生活に活かす道が閉ざされかねない。
     この制度改革の背景には、大学における高度な学問研究に支えられた高等教育はいわゆるエリート職業人にのみ必要で、多くのノンエリートには安上がりな職業技術訓練で足りるという認識が存在するが、この認識は、①職業生活に必要な知識・能力を不当に小さく見積もるとともに、②大学教育が職業人養成のために果たしてきた役割を不当に低く評価し、さらに、③大学教育は職業教育にだけではなく、社会と文化の持続的発展を担う自立した市民の育成をも担っていることを見落としている。

    2. すでに機能している高等教育全般に対する悪影響が大きい
     教養教育を軽視し職業訓練教育に特化する「大学」が設立されることは、日本の高等教育全般に対する影響は計り知れなく大きい。
     大学は、教育基本法第7条で、「学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するもの」と位置付けられ、また学校教育法第83条第1項で「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」とされており、学術の中心であり、教養と専門的能力・学芸をともに養い、かつ探究・研究する場であるとされているところである。「専門職大学」は、「大学のうち、深く専門の学芸を教授研究し、専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を展開させることを目的とするもの」(改正法律案要綱)とされ大学として位置付けられるとされているものの、制度設計では、授業に占める実習比率や教員に占める実務経験をもつ教員の比率を大きく高める(中教審答申での例示など)など、本来の大学の位置付け、目的から大きく逸脱したものであって、これを同じ「大学・短大」として「学士・準学士」の学位を授与するべき学校種別と扱うことは、実質的に教育基本法と学校教育法による大学の概念規定そのものを変更するに等しい。
     また、専門職業教育を行う高等教育機関として、すでに高等専門学校という学校種が創設され50年以上を経過する。これまで高等専門学校がはたしてきた役割を十分には評価することなく、そして高等専門学校の充実への十分な公的な支援、施策を行うことなく、新たな「専門職大学」を創設することは、屋上屋を架すものと言わざるをえない。



    3. 安倍政権の特徴である「思いつき」、「結果ありき」と「官僚組織の忖度」の産物としての「専門職大学」案

     冒頭に述べたとおり、「専門職大学」創設のきっかけは、安倍首相が対外的に打ち上げた私的な構想に端を発している。首相の高等教育に関する評価は一面的で、構想は思いつきに過ぎない。それを、教育再生実行会議第5次提言、文部科学省の実践的職業教育を行なう新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議、中央教育審議会と会議での審議を重ね正統化をはかってきた挙句の産物が、今回の「専門職大学」である。
     有識者会議、中央教育審議会の特別部会では、賛成論は必ずしも多数ではなく、創設の目的や必要性が不明確であることへの疑義や、創設される「大学」で授与される学位が本当に国際的に通用するものにはならないのではないかという危惧など、反対あるいは慎重な意見も多く出され、結論を得る状況ではなかったと言ってよい。そうした中で、中央教育審議会の答申を得て、法改正の提案まで持ち込んだのは、結果ありきの強引な会議運営があったからであり、そこには、首相の思惑を実現することを至上命題にする官僚機構と関係者の忖度が働いたと言わざるをえない。


    10:09
    2017/03/31

    全大教中央執行委員会声明

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    日本学術会議『軍事的安全保障研究に関する声明』を支持し
    各大学等における議論を呼びかける
      声明DL


    2017年3月31日
    全国大学高専教職員組合(全大教)中央執行委員会

     日本学術会議は、2016年6月以来の検討を経て、3月24日に標記声明を決定・公表した。
     今回の日本学術会議の声明は、わたしたちの主張と一致するものであり、その決定を強く支持する。
     この声明では、1949年に日本学術会議が創設され、1950年と1967年に軍事目的のための科学研究を行わない旨の声明を発したのは、科学者コミュニティの戦争協力への反省があったとの認識をしめし、軍事目的のための科学研究を行わない旨の2度の声明を継承することを宣言している。その根拠として、学術研究が政治権力によって制約あるいは動員された歴史的な経験をふまえて、研究の自主性・自律性、研究成果の公開性の担保が重要であるとの考え方をしめしている。その上で、2015年度に開始された防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」について、「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と評価し、研究資金は民生分野に対するものを充実させるべきとしている。そして、研究成果は軍事目的への転用の可能性もあるからこそ、研究の入り口での研究資金の出所等に関する慎重な判断が求められるとし、そのために、大学等の研究機関は軍事的安全保障研究とみなされる可能性のある研究については自らその適切性を審査する制度を設けるべきであるとしている。また学協会等でも研究についてのガイドラインの設定が求められるとした。さらに個々の科学者、研究機関、学協会、科学者コミュニティ全体が社会とともに真摯な議論を続ける必要性を訴えた。
     全大教中央執行委員会は、すでに2016年12月26日に声明『軍事目的のための研究を大学に行わせる政策に反対し、すべての大学・大学人が学問の自由を擁護する立場から議論し行動することを呼びかける』を発表している。その中では、大学等における軍事目的の研究を進める政策に反対し、政府はむしろ大学への基盤的経費、基盤研究費を充実させるべきであり、かつ大学・学術界の国際性、公開性の発揮を支援すべきことを訴えた。学術界に対しては、国際関係の包括的解決に向け行動すべきことを、また大学に対しては、学問の自由の保障に責任を負う立場に立って大学内での民主的議論を行うべきこと、そして大学人に対しては、その議論に積極的に参加すべきであることを訴えてきた。
     今回の日本学術会議の声明は、防衛装備庁の資金が問題が多いものであるとしている。各研究者、各研究機関はこの声明に応え、2017年度の同制度の募集に対しては、毅然として応募しない姿勢をしめすべきである。また声明が呼びかけているとおり、大学等の研究機関、学協会、科学者コミュニティそれぞれが、軍事研究とみなされ得る研究の適切性の判断基準と、それを審査する体制を確立することが求められている。現時点では未だその議論の入口に立っているにしかすぎないのであり、より広い社会の人々との議論を積み重ね真摯な取り組みが求められている。
     あわせて各大学等の関係者には、全大教中央執行委員会声明でわたしたちが主張した、軍事研究が大学等に持ち込まれた際に起こる、学生や留学生の現在および将来にわたる不利益について、責任ある立場で考えることを求める。
     全大教は、学問の自由、大学の自治の原則にもとづき、民主的な議論のもとで、大学等が今後とも軍事目的のための研究を行わないことを決定・宣言し、実践することを求め、そのために運動することをあらためて確認し、声明とする。
     
     

    14:56 | 運動方針、声明、見解、要望等
    2017/03/10

    全国大学高専校職員組合(全大教)中央執行委員会

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    文科省「第3期教育振興基本計画の策定の考え方」関するパブリックコメント
    に応え、3月5日に意見を提出
       


    2017年3月5日
    全国大学高専教職員組合
    <はじめに>今回、2018年度からの5年度にかかる第3期教育振興基本計画は、教育の内発的な発展と教育を取り巻く社会・経済情勢の大きな変化に対応した教育に関する施策の方向付けをする、非常に重要な計画










    であると認識しています。その策定にあたっては、閣議決定事項であっても、このパブリックコメントを含め、国民への十分な情報提供を行い、必要に応じて国会での議論を行うなど、国民的議論に付していただくことをまずは要望します。私どもは、大学・高等教育機関の教職員組合の全国組織として、今回の第3期教育振興基本計画の策定にあたり、主に高等教育を中心に意見を述べます。
    17:00 | 運動方針、声明、見解、要望等
    2016/12/26

    全大教中央執行委員会声明

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    軍事目的のための研究を大学に行わせる政策に反対し、
    すべての大学・大学人が学問の自由を擁護する立場から議論し行動することを呼びかける
    2016年12月26日
    全国大学高専教職員組合中央執行委員会

     
    2015年度に防衛装備庁による安全保障技術研究推進制度がスタートし、それを一つのきっかけとして、大学において軍事目的のための研究を行うことや学術界が軍事と結びついて研究を行うことの是非をめぐり議論が起こっている。
     防衛装備庁によるこの制度は、2015年度に年間予算3億円の規模であったが、2016年度にはその2倍の6億円に増額され、2017年度政府案では110億円が計上されている。この制度への大学からの応募は2015年度58件、2016年度23件、大学における採択はそれぞれ4件、5件であった。大学からのものを含む応募件数は、2015年度は109件から2016年度44件と大幅に減少しているにも関わらず、2017年度政府予算案は2016年度予算の20倍近い大幅増額である。
     この制度以外にも、防衛省等との共同研究や米軍からの研究助成、軍事研究を行う企業との共同研究等、大学への軍事研究の浸透の傾向は強まっていると考えざるをえない。
     今般のこうした大学等における軍事研究促進の動きは、武器輸出三原則の事実上撤廃、特定秘密保護法、安全保障関連法の強行実施など、日本国憲法の基本原理に基づく平和主義を全面的に骨抜きにしようとする動きと軌を一にしたものであり、その一環として位置づけられているとみることができる。

     日本の学術界、大学には、第2次世界大戦期に、東京帝国大学に造兵学科を擁する第二工学部が設置されたこと、京都帝国大学でも海軍からの委託によって原子爆弾開発のための研究が行われたことに象徴されるように、軍との密接な関係のもとで戦争遂行に積極的に関わった歴史がある。こうしたことへの反省にもとづき、日本学術会議が1950年(*1)および1967年(*2)の二度の声明で、戦争を目的とする科学研究を行わないことを表明し、今日まで、それを堅持してきた。わたしたち全大教も、この点については同一の姿勢をとってきた(*3)

     わたしたちは、安全保障技術研究推進制度に代表される軍事目的の政府資金が大学に流入し、大学において軍事技術研究が行われることは、次の点で大学での教育と研究を歪め、学問の自由を損なう結果を招くと考える。
     第一に、大学で学ぶ学生にとってみると、指導を受けるために所属した研究室、指導教員が軍事研究を行っている場合、自らの思想信条に反する場合であっても、必然的に軍事研究の一翼を担う立場に立たされてしまう。そしてその苦悩を一生背負わされることになる。このようなことは、個々の学生を含む大学人の思想良心の自由はもちろん、その上に特に学問の自由が保障されるべき大学においては、あってはならないことである。
     二点目は、大学のもつべき国際性に反することとなる点である。大学は国際的学術コミュニティの一部であり、専門分野ごとの先端の研究成果を発信し、世界の研究者と交流することよって、世界に貢献する。グローバル化する世界にあって、大学のもつこうした国際性はますます必須のものとなっている。国際的学術交流によって鍛えられ育まれた知がなければ、大学の国内への貢献もなしえない。大学が、一国家の安全保障のための軍事技術の開発に携わるということは、大学の国際性に制約をもたらし、対外的秘密主義を学術研究にもたらす。これは、研究者の交流を制限するだけでなく、留学生の往来を阻害し、在籍する留学生の研究活動の制約につながることも起こりうる。
     三点目は、研究成果の公表の問題である。大学での研究成果は国民および世界の人類の福祉のために広く公開されるべきものであり、そのことは学問の自由の根幹でもある。こうした公開の原則が担保されることが、一国に閉じることなく国際平和に寄与するべき大学のあり方であるし、国民の支援のもとで発展する大学としてふさわしい。その性格上秘密主義がまとわりつき、成果の公開性、透明性に制限がかかる軍事研究とは相容れない。

     大学において軍事研究を行うか否かという問題は、科学者・研究者個人の判断にのみ委ねるべき問題ではない。学問の自由の保障は個人の基本的人権であると同時に、大学自治を通じてそれを組織的・制度的に守っていくべき機関としての大学に課せられた使命でもあるからである。したがって大学は、大学自治の枠組みで、学内の民主的な議論を経て、軍事研究に関する立場を決定すべきである。その際、上述した国際性、公開性などの大学の最も基本的なあり方を十分に考慮に入れ、人類の福祉の向上に資する研究とそれに立脚した教育を行う機関であり続けることを明確に打ち出し、それを実践すべきである。

     軍事研究に関する議論の中には、「防衛のための技術・装備・兵器」と「攻撃のための技術・装備・兵器」に区分し、前者について大学での研究を許容するべき、あるいは推奨されるべきものとする意見がある。しかしながら、わたしたちは、近代以降のあらゆる戦争が「防衛」の名のもとに始まり、繰り広げられたことを直視すべきである。さらに、防衛のための装備・兵器と攻撃のための装備・兵器には本質的な区別はなく、どちらも他者を傷つけ、その命を奪うことを窮極的な目的としている。したがって、「防衛のための」軍事研究は許容されるべきとする議論は、全面的な軍事研究への道を開くものでしかなく、首肯できるものではない。

     知識や技術に国境がないのと同様、現在のさまざまな知識や技術は、軍用にも民生用にも活用できるデュアル・ユース技術であるという一面を持っている。その側面を強調して、軍装備品の開発は民生を通して国民生活を豊かにするものでもある、というキャンペーンが行われている。この議論は、民生目的の研究を軍事に利用するスピンオンと軍事目的に技術を開発していく中で一部が民生にも利用できるようになるスピンオフを意図的に同一視し、軍事目的技術開発へと誘導するものである。
     今回の安全保障技術研究推進制度も、デュアル・ユース技術や軍装備品にすぐに結びつくわけではない基礎研究に関する委託事業という側面が強調され、多額の(2017年度政府予算案では110億円)研究費用を大学に投入することが正当化されている。一方で、国立大学の運営費交付金は削減され、基盤的な研究経費は減少の一途をたどっている。こうした一連の政策展開からは、研究者が自由な発想で良心にもとづき研究活動を展開することで将来社会に貢献する可能性を秘めた本来の学術研究の道を狭めつつ、将来的に計画しているものも含めた軍装備品の開発に距離の近い研究だけを促進していこうとする姿勢があらわであると批判せざるを得ない。さらに言えば、デュアル・ユース技術対象、基礎研究対象の研究費が、防衛装備庁から支出される防衛予算である必然性はまったくない。文教予算の枠内で計上すれば事足りる。この点からみても、安全保障技術研究推進制度はやはり、軍装備品に特化した技術開発を研究者に要求するものと考えるべきであり、デュアル・ユースを強調する姿勢は隠れ蓑であると言わざるをえない。

     政府は、公的研究資金の配分にあたって、大学での研究を軍装備品開発の方向へ誘導する政策をとることをやめ、文部科学省は、大学の本来の役割が果たせるよう、基盤的経費、基盤研究費を充分に準備すべきである。
     また、政府および文部科学省は、大学及び学術界がその国際性、公開性を最大限に発揮することで国際協力、国際連帯に資することができるよう、学術研究、学術コミュニティの国際交流を深化させる取り組みへの支援こそ行うべきであり、それを求める。

     冒頭に述べたとおり、日本の学術の代表機関である日本学術会議は、戦後、二度の声明をとおし、日本の学術界が、戦争を目的とする科学研究に加担しない決意を明確にしてきた。このことが、平和国家としての日本のあり方を支え、その中での学術研究のあり方を規定してきた。わたしたちはこのことを高く評価し、日本学術会議が今後ともその姿勢を堅持すべきであると考える。

     また、日本の学術界として国際平和に向け、軍事産業、軍事技術・装備・兵器の開発・生産などの軍事側面ではなく、国際政治・経済、貧困問題の解決、移民問題の解決等による国際関係の包括的解決に向け行動するべきである。日本の学術界全体として、また個々の科学者・研究者として、それぞれの国際交流を通して、世界の学術コミュニティ全体が、こうした方向での行動を行うよう働きかけるべきである。

     大学は、大学において軍事目的のための研究を行うことの是非、これに関連する外部資金の受け入れの是非等について、学問の自由の保障に責任を負うべき機関としての立場から、大学内で徹底的な民主的議論を行うべきである。
    すべての大学人に対して、社会において大学が果たすべき使命の観点に立って、軍事目的のための研究を行うことの是非を考え、良心にもとづき民主的な議論に参加することを呼びかける。
     わたしたち全大教は、大学の自治にもとづき、民主的な議論のもとで、大学が今後とも軍事目的のための研究を行わないことを決定・宣言し、実践することを求め、そのために運動する。

    --
    (*1) 1950年4月28日日本学術会議第6回総会 「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明(声明)」 
    日本学術会議は、1949年1月、その設立にあたって、これまで日本の科学者がとりきたった態度について強く反省するとともに科学文化国家、世界平和の礎たらしめようとする固い決意を内外に表明した。/われわれは、文化国家の建設者として、はたまた世界平和の使として、再び戦争の惨禍が到来せざるよう切望するとともに、さきのの声明を実現し、科学者としての節操を守るためにも、戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わないというわれわれの固い決意を表明する。

    (*2) 
    1967年10月20日 日本学術会議第49回総会 「軍事目的のための科学研究を行わない声明」 
    われわれ科学者は、真理の探究をもって自らの使命とし、その成果が人類の福祉増進のため役立つことを強く願望している。しかし、現在は、科学者自身の意図の如何に拘らず科学の成果が戦争に役立たされる危険性を常に内蔵している。その故に科学者は自らの研究を遂行するに当たって、絶えずこのことについて戒心することが要請される。/今やわれわれを取りまく情勢は極めてきびしい。科学以外の力によって、科学の正しい発展が阻害される危険性が常にわれわれの周辺に存在する。近時、米軍陸軍極東研究開発局よりの半導体国際会議やその他の個別研究者に対する研究費の援助等の諸問題を契機として、われわれはこの点に深く思いを致し、決意を新たにしなければならない情勢に直面している。既に日本学術会議は、上記国際会議後援の責任を痛感して、会長声明を行った。/ここにわれわれは、改めて、日本学術会議発足以来の精神を振り返って、真理の探究のために行われる科学研究の成果が又平和のために奉仕すべきことを常に念頭におき、戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わないという決意を声明する。

    (*3) 全大教結成宣言(全大教憲章、1989年10月)において、「大学職員や研究者を組織する世界の労働組合・科学者組織と連帯し、科学・技術の自主的・民主的で調和ある発展とその平和的利用の追求」が全大教の任務の一つであることを自覚すると宣言している。

    17:00 | 運動方針、声明、見解、要望等
    2016/11/28

    中央執行委員会&病院協議会幹事会見解

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    大学病院は大学での医学教育・研究に不可欠であり大学設置基準改正案は撤回すべき

    ~大学病院を大学から切り離し別法人とすることを可能とする学設置基準改正案に関する見解~
     
      声明DL       

     2016年11月28日 全国大学高専教職員組合中央執行委員会
                          同     病院協議会幹事会

     

     

    はじめに

    文部科学省は、大学設置基準第39条第1項を改正し、またそのことに関する告示を発することによって、現在は医学・歯学教育を行う大学は附属の病院を設置することを義務付けているものを、地域医療連携推進法人に参加する法人が設置する病院での教育研究の機能が確保されている場合にもその要件を満たしたものとする、すなわち大学から切り離すことを可能とするように変更しようとしている。

    大学附属病院の主な役割は、教育・研究・診療の三つにある。大学に固有の役割である教育・研究の機能が、別法人が設置している病院において十分に発揮されるのか、重大な疑問をもつものである。

     

    医師となるための臨床教育は大学病院を中心に行われている

    日本において、医師・歯科医師をめざす者は、大学の医学部・歯学部の課程を修了し、その上で医師国家試験に合格して初めて、その資格を認められる(医師国家試験予備試験合格者、外国の医学校卒業、外国での医師免許取得者を除くと)。したがって、大学の附属病院は将来の医師・歯科医師の臨床教育を受ける中心的な場である。そうした役割を担っていることから、医学部を置く大学の附属病院は総合病院であり、ひろく多様な診療科を設置している。

     

    教員であり医師である医学部教員が医学の進歩と教育を担い、大学病院は「地域医療の最後の砦」

    大学の医学部・歯学部の臨床系教員は、附属病院での診療を行っている。そうした教員が、医学部・歯学部における授業を担当しており、さらには最先端の医療の進歩のための臨床研究も同時に行っている。こうした態勢が、教育・研究・診療の不可分かつ相乗効果を生んできたのであり、現在の高度で安全な医療体制の礎であった。こうした体制によって、大学病院は、高度医療、急性期医療の中心的存在となり、「地域医療の最後の砦」として、各地域における代替不可能な役割を担ってきた。

    附属病院を別法人化することを可能とする今回の制度改正は、相互に密接な関係を持ってきた大学病院での教育・研究・診療の関係を壊すおそれが非常に強い。大学とは切り離された別法人の病院において、教育研究の機能がはたして従来水準で発揮されるかは大いに疑問である。結果として医師・歯科医師等の充分な教育、研修が担保されず、将来的に日本の医療水準を引き下げるおそれがあると言わざるをえない。

     

    改正の目的である地域医療連携推進法人制度自体が大きな問題をもったもの

    今回の大学設置基準改正等の目的は、大学の附属病院を地域医療連携推進法人に参加させることにある。地域医療連携推進法人制度の目的は、地域医療の医療機関の連携による「効率的運用」であり、その先には、病院の統廃合、病床数の削減、法人間のさまざまな連携による効率的な病院経営がある。効率性の重視の観点が先行すれば、地域医療と医学教育の質が保証されず、低下が余儀なくされるおそれがある。地域医療連携推進法人に参加する病院として、地域医療連携の基軸的な役割を果たすこととなった病院が、地域の医療の効率化から、診療科や病床数の削減に率先して取り組む立場に立つこととなり、これまで大学病院が果たしてきた、教育・研究を最重視する観点から大きく逸脱するおそれは大いにあると言わざるをえない。

     

     

    大学の附属病院を必置とせず、切り離した上で別法人とすることも可能とする今回の大学設置基準改正は、医学の教育・研究の水準を引き下げ、また、地域医療を崩壊させる危険性を伴うものである。拙速な改正を行うべきではない。改正案は一旦撤回した上で、国民・関係者の意見を広く十分に聞きながら、慎重に検討を進めるべきである

     

     

     

     

     


    16:46
    2016/10/06

    国会院内集会の開催(10/11)のお知らせ及び参加のお願い

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    改正労働契約法の趣旨に反した国立大学等での「雇い止め」を許さない

     

    全大教中央執行委員会では、国公立大学・高専・大学共同利用機関で2012年改正労働契約法の趣旨に反した有期雇用教職員の「雇い止め」をさせず、無期雇用への転換を促進させる立場から、第28回教職員研究集会でアピール「職場の大切な仲間の「使い捨て」を許さないたたかいに、教職員の幅広い連帯立ち上がろう―全大教は、有期雇用教職員の「雇い止め」撤廃、無期雇用転換促進に力を結集します―」を発表し、より一層の取り組み強化をはかることとしています。
     国立大学等での「雇い止め」阻止、無期転換促進に向けては、学内の世論喚起とそれを背景とした交渉の取り組みとともに、脱法的かつ不合理な「雇い止め」を進める国立大学等の動きを批判する社会的世論形成の働きかけも重要です。 そのための取り組みの一環として、このたび、大学横断的に有期雇用労働者を組織する組合である首都圏大学非常勤講師組合、東北非正規教職員組合との共催により、臨時国会開会中の国会内で集会を開催し、労働組合、国会議員、弁護士ほか有識者等の発言・討論を通じて、全国の国立大学での有期雇用教職員の改正労働契約法の趣旨に反する「雇い止め」問題と、これに対抗する運動の道筋を明らかにすることとしました。
     つきましては、下記の要領により院内集会を開催し、東京近辺の単組を中心に参加をよびかけます。
     直前の開催決定及び告知となり恐縮ですが、趣旨をご理解いただくとともに積極的な参加のご検討をよろしくお願いします。

     

    【集会名】改正労働契約法の趣旨に反した国立大学での「5年雇い止め」を許さない
     -「ストップ! 東北大学3200 名と全国の有期雇用職員雇い止め」緊急集会-

    【開催趣旨】「国立大学での雇い止めを許さない院内集会告知文」をご参照ください。

    【主催】東北非正規教職員組合、首都圏大学非常勤講師組合、全国大学高専教職員組合
        (共催)
     ※なお、関連する産業の労働組合等に賛同を呼びかけています。賛同団体名は集約の上、
      後日お知らせします。

    【日時】10月11日(火)15時~17時

    【会場】参議院議員会館地下・B107会議室(東京都千代田区永田町2丁目1―1)
        ※アクセス:東京メトロ有楽町線「永田町」駅よりすぐ 

    【概要】労働組合・弁護士・研究者・国会議員等からの発言、討論
       ※超党派の議員からの発言を予定しています。

    【参加について】東京近辺の単組は、集会への参加の検討をお願いします。
      参加される場合は、当日12時までに全大教総務部へ
    単組名と参加予定人数をご連絡下さい。

     

     

     


    17:33 | 会議、学習会、行動等
    2016/09/30

    全大教中央執行委員会声明

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    高専機構の不当労働行為を免罪する中央労働委員会命令を批判する   声明DL       

     2016年9月30日 全国大学高専教職員組合中央執行委員会
                          同      高専協議会幹事会
                          同           弁 護 団

     

    中央労働委員会(以下、中労委)は、国家公務員に準じた給与臨時減額(最高9.77%)をめぐる全国大学高専教職員組合(以下、全大教)と独立行政法人国立高等専門学校機構(以下、機構)との団体交渉における不当労働行為の再審査申立を棄却した(829日受取)。

    中労委命令は、東京都労働委員会(以下、都労委)命令(20141021日)の不当な判断を基本的に踏襲するものであり容認できない。以下、中労委命令の不当性について批判し声明とするものである。

     

    1.   誠実交渉義務の要件を引き下げるのでは、組合の団体交渉権は保障されない

    全大教は「都労委命令は、本件が、被申立人側の申入れによる一方的な賃金切り下げをテーマとする団体交渉の在り方が問題となっている事案であることを全く考慮しない誤った判断である。本件における被申立人の誠実交渉義務は、通常の組合側申入れにかかる労働条件の向上に関する団体交渉における使用者の誠実団交義務とは質的に異なる高度なものである。本件では、賃金の大幅減少という不利益を労働者に受忍させるにふさわしい真剣かつ公正な交渉が求められていたというべきであって、本件で行われた被申立人の説明や資料提供では、到底それに足りない。」(再審査理由書2頁)ことを主張し再審査を求めた。

    しかし中労委は、機構の提出した資料が「組合が要求した資料そのものではないとしても」「これらの資料等をもとに実質的な交渉が可能であった」(命令35頁)と推断し、給与削減の根拠についても組合に説明したとし「機構の対応は、不誠実であったとまではいえない」とした。

    このような判断基準では、使用者側が申し入れた賃金の不利益変更にもかかわらず、使用者側は組合が要求する資料を提出しなくとも、ともかく関連資料を提出し説明さえすれば、組合の納得などとは関わりなく誠実交渉と認定されることとなる。

    こうした中労委の姿勢では、対等な労使交渉を促進する労働組合法の主旨を徹底することはできないし、憲法28条で規定する団体交渉の権利を保障するための第三者機関の役割を果たしていないと言わざるを得ない。

     

    2.   交渉の行き詰まりは団交拒否を適法とするための恣意的な判断である

    機構が給与臨時減額実施を宣言した第3回交渉において、組合は次回交渉を口頭で申し入れた。それは「71日から賃下げが実施される可能性が極めて高まったという段階における申立人側からの団交申し入れであり、その要求内容が、賃下げ実施の場合の減額率の緩和、実施期間の短縮、代償措置、種々の交換条件等であることは自明である。要求内容が不明確であるなどとして、この団交申し入れを拒否することは許されない」(再審査理由書3頁)のであり、この交渉申し入れを機構が拒否したのは、まさに典型的な団交拒否であり不当労働行為である。

    しかし、中労委は、機構の団交拒否の事実は認めたものの、組合の団交申し入れを「臨時減額支給措置の実施そのものを団交事項とするものと解するほかない」と意図的にすりかえ、交渉は行き詰まりの状態と認定し「正当な理由のない団交拒否とまではいえない」(命令43頁)と団交拒否を正当化した。あまりに使用者側に偏ったもので公正な判定とは程遠いものである。

     

    3.   組合の交渉姿勢について都労委命令の誤りを是正したのは当然である

    都労委は「物件費削減についての法人の努力は組合に説明されており、組合からはそれ以上の具体的な追及や質問もされていないのであるから、法人が包括的抽象的な説明に終始しているとの組合の主張は、採用することができない。」(都労委命令36頁)と、組合が追及しなかったという悪意に満ちたと言わざるを得ない事実認定があった。

    これに対し全大教は、「組合は十分な追及をしたのに対し機構が誠実に応じなかったというのが事実であるが、都労委命令は、組合の追及が不十分であったと根拠なく評価」したとしたうえで、「会社が具体的資料を提示して具体的根拠を十分に説明しなければ、誠実交渉義務違反になると考えるべきであって、その際の労働組合の追及が不十分であったことをもって会社の説明義務を軽減することは許されないというべきである。また、そもそも不利益変更の必要性・合理性を基礎づける資料が会社から出されてはじめて、労働組合は資料に基づく追及をすることが可能になるのであるから、議論の土台となる資料が出されず、情報を得られない状況で、労働組合が具体的な中身のある追及・交渉をすることは不可能である。」(再審査理由書1214頁)と主張した。

    これを受けて、中労委は改めて全大教が求める証人審問を行い、その証言内容等を踏まえ、組合の交渉姿勢を問題とした都労委の誤った事実認定を是正しているが(命令書3339頁)、当然のことである。しかし、中労委がその結論として、機構側の説明や対応について、「不誠実なものであったとまではいえない」としていることは、既に述べたとおり、使用者を不当に擁護するもので、誤りである。

     

    4.   誠実な労使交渉を求め、労使の信頼関係構築を目指す

    中労委側から和解が勧告されたことから、全大教は今後の労使関係の正常化をめざし機構側に和解案を提出し協議を申し入れた。しかし、機構が頑なに拒否したことにより和解ができなかったことは大変残念であった。

    機構が、今回の労働委員会事件を契機として教職員の賃金・労働条件の改善に向けた労使交渉を誠実におこなうことを強く求めるものである。

    同時に、全大教も緊張感のある労使関係の形成と、労使間の信頼関係を築くことに努力することを表明し、そのことによって教職員が希望をもって教育研究活動にあたることのできる国立高等専門学校となることを目指すものである。

    (関係資料)
    2016年8月 高専機構事件中央労働委員会命令
    2015年2月3日 全大教再審査理由書
    2014年10月21日 高専機構事件東京労働委員会命令

     

     

     


    09:52 | 運動方針、声明、見解、要望等
    2016/08/25

    中央執行委員会見解

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    2016年人事院勧告について   見解DL       

     20168月25
    全国大学高専教職員組合中央執行委員会

     

    人事院は、88日に国会と内閣に対し、一般職の国家公務員の給与を改定する必要があるとして主に次のような内容の勧告を行った。

    i 民間企業事務・技術職と国家公務員行政職(一)適用職員の間での20164月月例給の比較(民間が708円上回る)に基づき、俸給表を月額4001500円プラス改定。また、「本府省業務調整手当」を引き上げ。(いずれも20164月遡及実施。本府省手当は20174月に更に引き上げ。)

    ii 民間企業の2015年冬季、2016年夏季一時金の調査結果を踏まえ、ボーナスを0.1か月分プラス改定。期末手当2.6月(据え置き)、勤勉手当1.7月(+0.1月)の計4.3か月分とする(2016年度分の引き上げは12月ボーナスで実施。2017年度以降は6月、12月に0.05月分ずつ引き上げ)。

    iii 扶養手当について、「扶養手当のあり方に関する勉強会」での議論などを踏まえ、配偶者に係るものを減額(月13000円→6500円)、子に係るものを増額(月6500円→10000円)(20184月までに段階的に実施)。本省課長級職員への扶養手当は廃止し、これに準じる職位の職員への扶養手当を半減(ただし、子に係るものは除く。20204月までに段階的に実施)。

     また、介護時間制度の創設など、育児・介護との両立支援に関する制度の拡充も併せて勧告した。

     

     このうち給与勧告について、国公立大学・高専及び大学共同利用機関で働く教職員で組織する労働組合としての立場から、次の見解を表明する。

     

    1.人事院が例年行う民間給与実態調査に基づく官民比較の結果は、民間賃金の改善状況を表す指標として見ることもできる。本年の結果は、各種産業労組の奮闘にもかかわらず、月例給で昨年(平均+1469円)、一昨年(平均+1090円)を下回る低水準にとどまった。

    「成長と分配の好循環」を標榜する第二次安倍内閣の経済政策が、実質賃金の低下や非正規雇用の拡大など特に「分配」の面で機能していないことはすでに広く批判されてきたが、今回の調査結果からは、さらに名目賃金でもベースアップ抑制等により伸びが鈍化している現状が浮かび上がる。

    政府はこの現状を直視し、最低賃金の大幅な引き上げを含め、社会全体の賃金水準向上、安定雇用の拡大に真に資する政策を実施すべきである。

     

    2.本府省手当の引き上げについては、「給与制度の総合的見直し」による俸給2%切り下げの経過措置の影響で俸給引き上げが実際に職員の受ける給与に充分反映されないため、官民較差708円のうちこの部分(人事院の計算で206円分)を使って、同じく「総合的見直し」の一環として20184月まで実施予定としていた「本府省業務調整手当」の引き上げを一部前倒しで実施するというものである。この勧告内容は、全国の民間賃金と国家公務員賃金を調べて判明した較差を、本府省に勤務する職員のみを対象とした手当の引き上げに配分するもので、納得性のあるものとは思われない。

    ここには、一昨年の人勧により進められている「給与制度の総合的見直し」の矛盾が象徴的に表れている。勤務地域や勤務部署による格差の拡大を進める人事院の近年の給与政策の当否は、それが他の公共部門賃金(人事院の給与勧告が直接適用される一般職給与法適用職員は約27万人であるが、勧告内容によって賃金改定に事実上影響を受ける労働者の数は、地方公務員、国立大学法人を含む独立行政法人職員、その他福祉、医療職など700万人を超えるといわれる)、民間賃金ひいては地域経済に与える影響を含め、厳しく検証されるべきである。

     

    3.今回勧告された扶養手当の改定は、201410月に安倍首相が経済財政諮問会議で「女性の就労拡大を抑止する効果をもたらしている」として配偶者手当の見直しを人事院総裁に求めたことに端を発して、人事院が検討に着手していたものである。

    しかし、人事院が設置した勉強会では、民間企業で配偶者手当を廃止したものは少ない、配偶者手当の所得要件を理由にした配偶者の就労抑制はあまりみられないなどの現状が報告され、有識者及び公務員労働組合の代表から、転勤が多く配偶者の就労が困難であるなどの国家公務員職場の実情を考慮すべき、配偶者手当は家事労働への社会的評価として一定の合理性がある、見直しに当たっては民間企業での事例を参考に労使間の充分な協議を経るべきなどの意見が出されていた。

    今回の勧告はこうした「勉強会」の議論を充分反映したものとは思われない。このことは、たとえば労使間の協議について、多くの府省の労組で組織する国公労連への改定案の提示は勧告のわずか6日前であったことからも明らかである。この点で、扶養手当改定の勧告はそのプロセスに問題がある。

    また、内容的にも配偶者のみ又は配偶者と高齢者等を扶養する職員にとって年間10万円規模の収入減となること、行政職()8級以上に相当する他の俸給表適用職員(教育職、研究職など)においては管理職手当がないなど給与水準が必ずしも高くないにもかかわらず「給与水準が相当高い」として扶養手当が廃止または半減されることとなるケースがあることなど、問題の多いものである。

    人事院は、労働基本権を制限されている国家公務員に適切な労働条件を保障するための独立機関として、政府の要請に従うのではなく、民間・公務双方の労働実態を適切に把握し、公務関係労働組合との充分な協議を経た勧告を行うことを通じて本来の役割を果たすべきである。

     

    4.国立大学・高専、大学共同利用機関の設置者であり、教職員の使用者でもある国立大学法人、独立行政法人に対しては、独立行政法人通則法により、労使間で給与の支給基準を決定するにあたって、民間賃金や法人の業績と並んで国家公務員給与を考慮することが法令上求められている。また、公立大学・高専も多くが地方独立行政法人法に基づき法人化されているが、地方独立行政法人についても給与の支給基準について「社会一般情勢への準拠」が求められ、人事院勧告及び各地方自治体の人事委員会勧告が参照されることが多い。このことから、国公立大学・高専及び大学共同利用機関で働く教職員の賃金は、人勧の影響を強く受ける状況にある。

    一方、国立大学法人・大学共同利用機関法人90法人の事務・技術職員と国家公務員の行政職(一)適用職員との給与水準を比較すると国家公務員を100としたラスパイレス指数で88.4である(2014年度)など、国立大学等で働く教職員の賃金水準は国家公務員より低位にある。これは、法人化以前に充分解消されないままであった他省庁職員との格差が引き継がれたものであり、また、国家公務員給与が均衡をはかっている同等職種の民間賃金よりも低位にあることをも意味している。

    こうした状況を踏まえ、全大教及び加盟組合は、人勧の内容がプラス勧告であってもマイナス勧告であっても、それはあくまで参照すべき最低限度とした上で、上述のような賃金水準格差の解消に資する内容の賃金改定を行うことを要求し、交渉してきた。また、国家公務員給与臨時特例法に準じた自主的な賃下げを求める政府の要請を理由に各国立大学法人等が人勧の水準をさらに最大9.8%下回る賃下げを強行した201213年度の給与臨時減額に際しては、労働契約法に照らした違法性・無効性を訴え、全国で600人を超える原告団による訴訟をたたかってきた。しかし、多くの国立大学法人等は、人勧や政府の要請に右に倣えする主体性を放棄した姿勢を改めていない。

     他方で、国立大学法人等に対する連年にわたる運営費交付金の削減は、教職員の人員不補充、教育研究経費の削減など、教育・研究・診療の現場に多大な悪影響を与えてきたが、最近に至って、人勧に準拠した内容の賃上げの実施すら困難を伴う状況までもたらしつつある。2015年の人勧では俸給、期末・勤勉手当の増額と一部地域での地域手当引き上げが勧告されたが、この内容を受けた2015年度の賃金改定において、これらに準拠した賃金改善の全部ないし一部を実施しない国立大学が少なくとも8大学にのぼった。同年の勧告では2016年度から実施する地域手当引き上げも勧告されたが、これについて現時点で実施を先送りしている大学を含めると10数大学にのぼる。人勧がマイナス勧告のときや政府が賃下げを要請したときはこれに追随しながら、人勧がプラス勧告の場合には賃上げを拒むという対応は、前述の国立大学法人等における賃金水準格差解消の必要性を措いたとしても、およそ許されざる二重基準である。

    加えて、2項でも触れたように、国立大学等の多くが法人化した2004年以降、人事院は「給与構造改革」(2005年勧告)「給与制度の総合的見直し」(2014年勧告)と、地方に勤務する職員の給与水準を下げ、中央省庁や一部の大都市等に勤務する職員との賃金格差を拡大する政策を矢継ぎ早に打ち出してきた。地方に所在する国立大学等では、人勧に準拠する内容の賃金改定を続けてきたことによって累計7%以上もの賃金水準低下が進行し、人材の確保・定着に支障をきたすほどになっている。

    このように、法人化後12年という現時点において、国公立大学・高専、大学共同利用機関の教職員は、本来行われるべき賃金水準の改善の実現どころか、これに逆行する事態が進みかねないさまざまの悪条件のもとにおかれている。私達はこの状況を座視していることはできない。

      各法人が教職員の働きに正当に応え、本年の人勧を最低水準としてこれを上回る賃金改善を行うこと、同時に3項で述べたとおり勧告の内容自体や決定過程に不合理を多く含む扶養手当の減額によって、対象となる教職員の労働条件を更に不利益に変更しないことを強く求めていく。
     同時に、各法人がその社会的使命を果たすための人材確保に資する賃金制度、賃金水準を自主的・自律的に確立できるよう、国立大学法人等に対する運営費交付金の削減を中止し、基盤的経費を充実させることを政府及び関係地方自治体に対して強く求めていく。

     

     

     

     

     


    18:00 | 運動方針、声明、見解、要望等
    2016/08/06

    中央執行員会声明

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    国の要請を高度の必要性とする京都大事件控訴審判決並びに

    国立大学法人財務の無理解による山形大事件地裁判決を批判する 声明DL

           

     201685
    全国大学高専教職員組合中央執行委員会

     

    2012年度から2年間、国家公務員に対して行われた給与臨時減額に準じ、国立大学法人等が2012年度に、一方的に就業規則変更し賃金切り下げを行ったことに対し、全大教に加盟する11組合が組合員を原告として未払い賃金請求訴訟を起こした。201624日に全大教は、これらの訴訟のうちそれまでに出された5つの第一審判決と福岡高裁の控訴審判決について、その不当性を批判する声明を発表したところである。

    今回、京都大事件大阪高裁判決(2016713日)並びに山形大事件山形地裁判決(2016322日、控訴)が、国立大学法人制度とそこでの財務・会計制度、職員の労働者としての権利にかかわる重要な論点について極めて不当性の高い内容をもった判決を下したことから、これに対する全大教の見解を明らかにし、声明とするものである。

     

    1.   京都大事件控訴審判決は、京都大学が「国からの運営費交付金の交付を受けているのであるから」、「国からの運営費交付金減額に伴ってそれに相当する人件費削減の実施を要請された場合には」「要請に沿うような対応を採るべき必要性が生じていたことは明らかであり、実質的にこれを拒むという選択肢はなかったものと認められる。そのような意味で、教職員の給与減額には、高度の必要性があったということができる。」(判決71頁)と、国から給与減額の要請を受けたことが直ちに給与減額の高度の必要性を構成するとする驚くべき判決を下した。

    この判决は、以下に示す4点で全く不当なものである。

    1に、国立大学法人の基本的性格を覆すものである。国は、国立大学法人法(20044月施行)を制定し、国立大学を国の機関から切り離し自立した国立大学法人とした上で、法人の運営の自主性・自律性を保障した。そして国立大学における教育・研究のために、法人が使用目的について裁量権を持つ渡し切りの運営費交付金を措置している。こうした制度と財政措置の枠組みの観点から、運営費交付金が削減されるとしても、運営費交付金減額への対応策は国立大学法人が自主的に判断することであり、「国の要請に沿うような対応を採るべき必要性」が発生するものではない。

    そもそも国は、国家公務員への給与臨時減額にともなって行った独立行政法人等への要請の内容は、「法人の自律的・自主的な労使関係の中で、国家公務員の給与見直しの動向を見つつ、必要な措置を講ずる」ことであったのであり、人件費削減を要請した事実はない。このことは、同じ案件について新潟地方裁判所で争われている新潟大学の原告団による国家賠償請求訴訟において、国が「本件行政指導は,飽くまで各国立大学法人の学長の決定権限や労使交渉を前提としたものであって、各国立大学法人の任意性を損なうものでなく,各国立大学法人が講じるべき措置の具体的な決定は各国立大学法人に委ねられている」(2015918日付け国準備書面(5))としていることからも明白である。また、当時の財務大臣の発言(2012511日)は、給与削減と同等の運営費交付金削減を行う意向を示したものにすぎないのであり、国立大学法人は運営費交付金の削減に対応した運営をおこなうことで政府の要請に応えることができたのである。

    2に、憲法が保障する団体交渉権など労働基本権を侵害するものである。もし国の給与削減の要請が、非公務員である国立大学法人職員の賃金を引き下げる高度の必要性となり合法的な措置とされるならば、国立大学法人職員が憲法で保障された団体交渉権など労働基本権は実質的に無いに等しいものに貶められ、判決は労働者の権利を蔑ろにするものである。

    3に、労働契約法第10条の一方的不利益変更の合理性の判断枠組みから逸脱していることである。京都大学の財務・経営上からは給与削減の必要性がないことを認めたにも関わらず、政府の要請だけをもって賃下げの高度の必要性があるすることは、労働契約法第10条の一方的不利益変更の合理性の判断枠組みから大きく逸脱し、判例法理をも無視したものである。経営上からは給与削減の必要性がないのであるから、給与削減の高度の必要性が存在しないと結論づけるべきである。

    4には、独立行政法人通則法(旧)第63条の解釈が誤っている点である。判决は、同条が国立大学法人職員の賃金の水準の決定にあたって他の要素と合わせて「社会一般の情勢に適合」したものと定めることをとらえ、これを給与減額の必要性の要件として捻じ曲げて解釈している。しかし、職員の給与は労使自治の下で法人の自主性によって決定することが大原則であり、国家公務員に準拠することが通則法によって義務づけられているわけでない。

    以上のとおり、この京都大事件大阪高裁判決は、国立大学法人制度とそこに働く労働者の権利に関して非常に基本的かつ重大な誤りを犯したものであり、私たちはこれを許すことはできない。

     

    2.   山形大学賃金訴訟は、被告である山形大学法人自身が給与削減の実施理由を国の要請ではなく自主的な経営判断であると主張したことから、運営費交付金の減額が見込まれる状況下での賃下げに合理的な必要性があるかどうかについて、財務・会計制度及び法人の財務状況を中心に争われた。原告側は、運営費交付金が減額されたとしても、法人側に賃金支払い能力と経営の耐性があり、賃金減額の必要が無いことを財務諸表等に基づいて主張・立証した。

    被告の賃金支払い能力を計る指標として、賃下げ実施前の20123月末の貸借対照表の借方にある有価証券、現金、預金、未収附属病院収入などが合計113億円であること、月末の資金残高は最低13億円から最高68億円であることは判決でも認定された。原告側は、運営費交付金削減額が2年間で16億円余であることから、上記の賃金支払い能力及び利益剰余金34億円があることで賃金減額をしなくても財務運営が十分にできることを公認会計士の見解に基づいて主張した。

    しかし判決は、以下の誤った認定のもと不当な判断を下した。

    1に、法人が保有する流動資産について公正かつ十分な検討を加えることなく賃下げ回避の方策から除外している点である。

    判决は、「流動資産に一定の現金可能な資産が計上されていることをもって、直ちに予定外の支出に対する支払い能力があるといことはできない」、「やがて来る現実の支払いを見据えて資産を確保しておくべき一定の必要性がある」から「同資金を人件費の支払いにあてることができるとは直ちにいえないものと解される」(判決60頁)と充分な根拠を示すことなく断定した上で、「被告に、人件費相当額の運営費交付金の削減に対応できるだけの資産があったといえるか疑問である。」(判決62頁)との曖昧な認定によって、被告に賃金支払い能力がないと誤った判断を下している。

    2には、国立大学法人会計における利益剰余金について誤った理解に基づいた判断をしている点である。原告側は、利益剰余金が34億円あり、賃金支払いによって当該年度の損益計算書に欠損金が計上されても利益剰余金が枯渇しないことから、経営の耐性は十分あると主張した。しかし判決は、目的積立金以外の利益剰余金は「現金の裏付けのないもの」と誤った理解によって経営の耐性がないとした。損益計算において欠損金を利益剰余金で処理することは、利益剰余金に対応する現金の存否とは何ら関係がないことである。

    3は、キャッシュフローの判断に関する誤りである。原告は、賃下げを行わずとも、手持ち現金が枯渇する資金ショートが起きないことを毎月の資金残高表をもとに示した。これに対し判決は、資金残高の事実認定はしたものの、「運営費交付金が削減されてしまえば、将来的に行うべき現実の支払いまで見据えた場合に、いずれ資金がショートしてしまうということも想定される」(判決70頁)と、根拠も具体的分析も示さず説得性のない「想定」によって判断をおこない結論を導いた。

    4は、被告も主張していない点を判决の主要な理由として盛り込んでいるという訴訟手続上のルール違反である。判決は、被告が政府からの要請で賃金減額をおこなったものでないという主張を認定しておきながら、政府からの要請を必要性の判断に加えた(判決64頁)。これは判決を導く判断のうち、財務・会計上の争点に関する曖昧な部分を補強することを意図しており、非常に悪質である。

    5は、総合的に判断されるべき、就業規則の一方的不利益変更の必要性の判断について、財務問題の検討を優先させそこに高度の必要性があると結論付けた上で、労働者の受ける不利益の程度がそれに従属させられるごとく形ばかりの検討がされたにすぎないことは、労働契約法第10条の判断枠組みからの逸脱である。

    さらに、労働組合との交渉の軽視も看過できない。最終的に7月から強行実施がされた賃金減額に関して、521日に初めて組合に規則改定を説明するなど、交渉が非常に短期間、かつ資料を充分示さないなど不誠実な内容のものであったことについて、「やむを得ないもの」「交渉態度に大きな問題はなかった」と被告を擁護している。組合との誠実交渉義務を軽く見ている点は、全国で同様の事案を闘っている他の裁判での判決と同様に極めて不当なものである。

    仙台高裁控訴審において、以上の第1審判決の誤りを正す公正な審理を強く求めるものである。

     

    全大教中央執行委員会は、このふたつの極めて不当な判决を含め、これまで全国の裁判において続けざまに出されている不当判決を正し、この重要な裁判闘争での勝訴を目指す決意である。この闘いと並行して、国立大学における教育・研究・医療が健全に発展するための基盤として、国立大学法人が、国から不当な介入を受けることなく自主的に運営を行い、労働条件に関して労使自治により決定していくという当然のルールを確立し、教職員の教育研究環境と賃金・労働条件を改善する取り組みをさらに進める決意であることを表明する。


    17:10 | 運動方針、声明、見解、要望等
    2016/07/13

    2016教員アンケート(Webアンケート方式)ご協力のお願い

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    教員のみなさまへ

     

      全大教「国公立大学・高専・大学共同利用機関教員の研究・教育・勤務条件改善

    に関するアンケート」(Webアンケート方式)ご協力のお願い

     2016/04/07

      国公立大学・高専、大学共同利用機関の教職員組合が加盟している全国大学高専教職員組合(全大教)では、4年に一度のペースで、国公立大学・高専・大学共同利用機関の全教員(非常勤教員を含みます。)を対象に、研究・教育・勤務条件改善に関するアンケート調査を実施しています。

     

     前回、2012年に実施したアンケート調査では、51大学・16高専・2大学共同利用機関のあわせて4267人の教員の方から回答をいただきました。

    (アンケート結果の概要は、「チラシhttp://goo.gl/o9crcL」をご参照ください。
    延期しましたチラシはこちらから

    法人化後現在に至る教員の研究・教育・勤務条件の変化や、その中での教員の要求を時系列的に把握できるよう、前回と基本的に同じ項目でアンケートを実施します。

     

    今回のアンケートは、Webアンケートで行います。(5分程度で回答できます)

     アンケート結果は全大教ホームページ等で公表するとともに、大学・高等教育の充実をめざす運動に活用させていただきます。

     ぜひ皆様のご協力をお願いいたします。

     

     

    【アンケート対象者】

      国公立大学・高専、大学共同利用機関法人に勤務する教員(非常勤教員を含みます)

     

    【アンケート実施期間(回答Webページの開設期間)】

      201647日(木)~711日(月) 7月末日まで延期

     

    【回答Webページ】

      http://zendaikyo.or.jp/?page_id=996



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