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   全国大学高専教職員組合(全大教)は教育・研究・医療の充実と発展、働く教職員の労働条件改善のために活動しています  絵文字:矢印 右事務所案内・問い合わせ   絵文字:矢印 右よくある質問
 
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    2017/09/29

    中央執行委員会声明

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     文部科学省天下り事件の徹底的な再発防止とともに、
    教育・学術の自主・自律を本旨とした大学行政の再出発を求める(声明)

    2017年9月29日
    全国大学高専教職員組合中央執行委員会


     国公立大学・高専・大学共同利用機関で働く教職員で組織する私たち全大教にとって、文部科学省による再就職規制違反事件は、単に文科省の信用失墜だけでなく、違法な「天下り」の受け入れ先とされた大学などの教育・学術機関に対する市民からの信頼にまで影響する、看過しえないものであった。違法行為に組織ぐるみで手を染めてきた文科省にあらためて抗議するとともに、再発防止の徹底を求めるものである。
     一方で、こうした組織ぐるみの違法天下りが繰り返されてきた背景として、文科省が自らの監督行政の対象である教育、学術機関に対し「身内」意識に寄りかかり、教育、学術の自主・自律を守る上でもつべき緊張関係の自覚を欠いた行政運営を行ってきたこと、そして大学など教育、学術機関の側にそれを受け入れざるを得ない状況があったことを私たちとしては指摘せざるを得ない。
     文部科学行政は、今回の違法天下り事件の発覚を契機として、教育、学術機関の自主・自律を守り支える本来あるべき姿に立ち戻ることで再出発を果たすべきである。そのための具体的課題を大学、特に国立大学法人等にかかわるものを中心に指摘することで、私たちの声明とする。

    1.交付金・補助金に物を言わせる「大学改革」政策は天下りの温床
    ~基盤的な条件整備を保障する公平・透明な大学行政に転換を~

     文科省が所管する教育、学術機関に同省の退職職員が天下れば、許認可に関する相談や補助金・交付金の申請や文部科学行政の動向を探る場面などで、いちはやく情報を入手したり、非公式な助言を求めたり、裁量の範囲で有利な取り計らいを求めたりすることを期待させることは自明である。国公私立大学をはじめ、教育・学術機関はその運営資金を公費に求める部分が大きく、また大学設置審査をはじめ文科省による規制にかかる部分が大きいことから、天下り職員によるこうした働き掛けが行われた場合に、各機関の組織運営に対して持つ影響は特に重大なものとなる。
     しかも、文科省は近年の各政権による新自由主義的な改革路線に乗って、本来基盤的経費として予算措置されるべき運営費交付金や私学助成金を「大学改革への取り組み」を評価して裁量的に配分する、あるいは時限的な補助金を拡大するなどの施策を繰り返すことで、特定の方向の大学改革への誘導政策を進めてきた。こうした中、予算確保のために天下り職員の存在が学内で重みを増したり、新たな天下り受け入れの誘因が生じたりすることは当然予見されるべき事態である。天下り事件発覚の端緒となった吉田大輔氏の事案において、再就職のきっかけが大学改革全般に関する大規模な補助金事業である「スーパーグローバル大学創成支援事業」へのかかわりにあるとされ、再就職先での教授としての職務内容も「文部科学省等の各種事業関係に関する連絡調整等への関与」とされていたことは、こうした構図の象徴的な事例である。
     そもそも、特に構成員の自治によって教育・研究の充実のための内発的な必要性に立脚した自主的・自律的な運営が行われ、それによって学問がもつべき豊かな多様性を担保すべき大学に対して、文部科学省や政権が指向する特定の方向性の「改革」に誘導するような予算配分が行われること自体が問題である。また、近年では特に、各大学が短期的な補助金によるプロジェクトを綱渡りする不安定な組織運営を強いられ、教職員の不安定雇用の拡大などを通じて、日本全般での学術研究業績の低下をももたらしている。教育・研究条件を公平に保障する文部科学行政への転換は、違法な天下りの再発防止だけでなく、日本の高等教育・学術を危機の淵から再生させる上でも不可欠である。
     文科省は教育、学術に対して自らの果たすべき本来の役割を自覚し、各大学が天下りを受け入れる誘因を最初からもたらさし得ないような、公平・透明かつ基盤的な条件整備を旨とした大学行政の道を歩み直すことを求める。

    2.自主的・自律的な国立大学法人運営は、それを支えるスタッフの人事の自立から
    ~文科省は国立大学法人への大量現役出向の抜本的見直しを~

     現在、国立大学法人等(大学共同利用機関法人を含め90法人)には、法人の常勤役員(理事等)、幹部事務職員(事務局長、部課長等)などとして多数の文部科学省職員出身者が在職している。このうち常勤役員については、国立大学法人化初年度に2004年度には66人(516人中)であったが、直近の調査結果(2016年度)では82人(519人中)と、人数、比率ともに増加している。幹部事務職員については公式の公表資料はないが、国立大学法人全体で約600人(このうち、文科省から直接国立大学法人等に出向した者が約250人、文科省から出向後、法人等の間で出向を繰り返している者が約350人)とする資料があり、国立大学が文部科学省の機関であった時代とほぼ変わらない規模のまま維持されている。
     これらは国家公務員法上の「現役出向」制度によっており、退職後の天下りのような規制の対象とはなっていない。しかし、上記のような大規模な出向人事は、次に述べるような点で、出向先での「職務経験を公務に生かす」という現役出向制度の趣旨を逸脱しており、また国立大学法人の自主・自律を妨げるものである。
     2004年の国立大学法人化以前には、文部科学省が国立大学の事務局の管理職の任命権を持ち、それらのポストの多数を文部科学省本省職員をもって充てる「異動官職制度」が行われてきた。これは、特に中高年ノンキャリア職員の処遇を他省庁並みかそれ以上に高め、士気を維持するための措置ともいわれてきた。法人化によって各法人の役職員の人事権は独立することとなったが、各法人の学長の要請に基づく現役出向という形に名を変えて、異動官職制度とほぼ同様の実態が温存されている。
     文科省から国立大学法人等への現役出向の人数規模は極めて大きく、文科省の職員人事システム自体が、国立大学法人等への現役出向の存在に依存する形となっている。このことが、今回発覚した違法な再就職あっせん案件に国立大学法人に現役出向中の職員の退職後の再就職先確保に係るものが含まれていたことに象徴されるように、組織的な違法天下り事件の発生に少なからぬ影響を与えた可能性も否定できない。先に挙げた文科省の有識者検討会では検討課題として「硬直化した人事慣行や組織運営の見直し」が挙げられていた。その検討にあたっては、こうした文科省における現役出向の濫用的な運用の見直しも当然行われるべきであったが、全く検討されていないことは遺憾である。
     文科省から国立大学法人等の役員・幹部事務職員への大量現役出向は、国立大学法人に本来求められる自主的・自律的な運営の確立の上でも悪影響をもたらしている。
     国立大学法人法は、学長に法人経営・大学運営全般にわたる広範な権限を付与した。2014年の学校教育法等の改正によって、学長の権限はさらに強化された。このように強大化した学長権限が学問の自由、大学自治に合致するよう適切に行使されるためには、教育研究評議会、教授会等の役割とならんで事務組織の役割が重要である。
     しかし、現状ではほとんどの国立大学法人で文科省現役出向者が人事、財務等の担当理事と事務局長を兼務して事務組織全体を統括しているほか、主要な部課長ポストも現役出向者が占めることが多い。こうした実態は、国立大学法人が法人化の本来の趣旨・目的にかかわらず、交付金・補助金の獲得、法人運営に対する評価などの点で文科省からのむしろ法人化前以上ともいえる拘束を受けている実情と密接に関連し、相互に補強し合うものとなっている。
     また、現状の大規模な現役出向は、各国立大学法人で採用された職員が現場で得た知識・経験を活かして各法人の運営上責任あるポストにつくことを阻害する要因のひとつとなっている。そのことによって、大学が自ら採用・育成し、教育研究の現場を知る事務職員が、教員をはじめ多様な職種との協働によって自主的・自律的な大学運営を充実させていくことが困難になっている。更には、現役出向者が出向期間中のさまざまな事案に対して、自らの責任を回避したいがための「ローカルルール」が設けられ、会計処理など非効率な事務遂行が行われるなど、現場の実情を軽視した組織運営がなされがちになる問題も指摘されている。
     今回の文科省の天下り事件は、文科省と国立大学を含む大学との関係の在り方だけでなく、文科省と大学双方の職員人事の在り方をも見直す契機とすべきものである。国立大学法人化の趣旨を踏まえず、法人化以前の出先機関的な人事運用を温存してきた現在の「現役出向」の在り方を抜本的に見直すことを求めるとともに、各国立大学法人及び国立大学協会が、各大学の教職員の意向を十分に聴取しながら、自主的な大学運営を支える事務職員のキャリアパスの確立を早急に実現することを求める。

    以 上


    文部科学省による再就職規制違反事

     本年1月、政府の再就職等監視委員会による調査結果として、文部科学省高等教育局長を務めた吉田大輔氏が2015年8月に同職を退職後、同年10月1日付けで早稲田大学教授に再就職した事案について、退職者本人の在職中の利害関係先への求職活動、また文科省現役職員による再就職あっせんという国家公務員法の再就職規制に対する違反行為、さらには再就職等監視委員会の調査に対する事実隠蔽行為が行われていたことが発覚した。加えて同報告では、文科省において再就職規制の脱法行為をはたらく意図のもと、特定の退職職員を介した再就職あっせんの仕組みが構築・運用されていたことも指摘された。
     この事態に対し、文科省では1月20日付けで前川事務次官が自身の再就職規制違反行為の責任をとり辞任、松野文部科学大臣が監督責任として大臣俸給の6カ月返納を表明したほか、関係職員9名を懲戒処分等とし、全現役職員及び現行の再就職規制が導入された2009年以後の全退職職員を対象とした調査を行った上で再発防止策を検討するとした。この調査の最終報告書は3月30日に公表され、計62件の国家公務員法違反事案が明らかになり、関与した職員37名に懲戒処分等が行われた。この62件の中には、国立大学法人の役員への他省庁職員の天下りを文科省職員があっせんした事案2件も含まれていた。また、こうした大規模な法令違反が生じた理由について「最終まとめ」では、職員OBが関与するなどの仕組みを構築した上での再就職あっせん行為が「違法ではないとの軽信」が文科省内にあったことによるものだとした。
     これを受けて文科省では、4月に有識者検討会を設置して再発防止策の検討を委嘱し、自らの許認可や財政支出の対象となっている大学、研究機関等の関係機関への再就職については「疑惑が払しょくできるまでの間」自粛する措置を講じた。また、国家公務員の人事を統括する内閣人事局は文科省における事案発覚を受けた形で全省庁を対象とした再就職規制違反事案の有無に関する調査を実施した。この調査は退職者本人や人事担当者の自己申告を基にした不十分な調査方法によるものではあるが、本年6月に公表された報告書によれば27件の違法な天下りの疑いのある事案が判明し、再就職等監視委員会に報告されている。
     文科省の有識者検討会は7月27日に再発防止策に関する提言を提出し、このうち「直接的な再発防止策」に関する部分への対応として8月1日に文科省内に「再就職コンプライアンスチーム(室)」が設けられ、違法行為防止のためのチェック体制が構築されたが、提言のうち人事慣行の見直し、業務プロセスの改善など「より柔軟で活性化した組織づくりに取り組むことにより再発防止に資する対策」とされた部分については、具体化の取り組みは未だ明らかにされていない。一方で大学等関係機関への再就職自粛措置は解除が発表され、9月21日までに文部科学省ホームページのトップページから「再就職規制等違反事件についての対応」のページへのリンクが削除されるなど、事件の幕引きともとれる動きも見受けられる。



    14:38 | 運動方針、声明、見解、要望等
    
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