国公立大学・高専・大学共同利用機関で働く教職員の賃金改善を求める
~2026年人事院勧告を受けて(声明)
2026年8月7日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会
人事院は本日、国家公務員給与に関して、月例給については官民較差3.51%(15,056円)引上げ、一時金については0.05月引上げる勧告をした。
今回の勧告は昨年に引き続き月例給および一時金を引上げるものであり、民間における初任給の動向や、公務における人材確保の課題をふまえて初任給において相応の引上げを行うとともに、業務遂行において重要な役割を担っている中高齢層においても昨年を上回る改定となっているが、民間の賃上げ水準には及んでいない。また、再任用職員の月例給についても民間の再雇用(フルタイム勤務者)との均衡を図るべく8.5%の引上げを行ったことは評価出来る。
職務・職責に見合った賃金体系や物価高騰が続く社会経済情勢、中央最低賃金審議会が昨年に続いて最低賃金の大幅な引上げを答申したことを鑑みれば、全世代、全職種にわたる更なる賃金の引上げが求められている。
国立大学等の教職員の給与水準は法人化以前から国家公務員行政職(一)職員に比べて低く、今も、国立大学等の事務・技術職員のラスパイレス指数にも表れている。教員においても人材獲得で競合する大手私立大学より給与水準は遙かに低い状況となっている。
国立大学等の教職員は非公務員であり、賃金等の労働条件は民間労働関係法規に基づく労使交渉によって決定される。私たちは、こうした労使の関係性に基づいて国立大学等の各法人と賃金の引上げに向けた団体交渉に臨むものである。
他方で、国立大学等における賃金の引上げは単に労使関係だけではない構造的な問題を抱えている。多くの国立大学等において教職員の賃金の原資は基盤的経費である運営費交付金に依るところが大きいが、運営費交付金は法人化時より大幅に削減されている。これまで各国立大学等では概ね、人事院勧告に準拠するという方針がとられてきたが、運営費交付金が削減されているなか、大学運営において人件費や教育・研究費の確保の限界に迫られ、人事院勧告の水準を維持することが困難な大学も出てきている。現に、約25大学が賃金改善を遅らせたり、一部見送ったりしており、2025年度の補正予算、2026年度当初予算の運営費交付金の増額を以ってすら人事院勧告に準拠出来ない大学が生じる危機的な状況にある。雇用延長については、国家公務員に準じた定年引上げを行っている大学が多いものの、給与水準については国家公務員の水準に及ばない大学もある。さらに、定年引上げ自体を行わず、再雇用制度で運用されている大学もあり、シニア層の処遇は、その職務内容や責任の実態に見合ったものとなっていない場合が少なくない。
優秀な人材確保はおろか、教育・研究・医療の維持に必須となる人件費すら削減を迫られている。エネルギーコストや教育・研究・医療等に要する資材の高騰に、当初配分される予定であった教育・研究・医療のための予算の削減・凍結が規模の大小を問わず多くの大学で行われ、必要な施設・設備の整備もままならない状況にある。これらの対応のために更なる人件費の削減・凍結を迫られるという、負の連鎖がこれ以上拡大しないよう基盤的経費の確保はより一層重要な局面にあるといえる。
国立大学等は、国民が平等に高等教育を受ける機会の提供と、「市場」だけでは見出せない価値を創出するための研究活動をすることが重要な使命である。私たちは外部資金の獲得や社会の期待に応える努力を継続しているが、国立大学等の日常運営を支える基盤的経費を確保することが困難な状況に至っている。そもそも、国立大学等の法人化以降、教育・研究・医療の高度化への対応や社会保険料や消費税率の引上げなどにより必要経費は大幅に増加している。物価や人件費の上昇が見込まれる社会経済情勢へと変化するなか、2026骨太方針において「大学における研究活動を安定的、継続的に支える国立大学法人運営費交付金や科研費の大幅な拡充を図る」という文言が盛り込まれた今、あらためて運営費交付金のさらなる増額を求めると同時に、国立大学法人等においては教育・研究・医療の充実はもとより、社会経済情勢をふまえた賃金の引上げを求めるものである。