2013年4月に行われた労働契約法の改正で、有期契約の労働者が通算5年を超えた場合、誰でも、自分で申し込めば無期契約になれるとされました(第18条、2013年4月)。
しかし、東北大学当局は、非正規教職員がちょうど5年で雇止めすることにより、無期契約を回避しようとする方針を打ち出しています。しかも、法改正前から8年も9年も働き続けている人でさえ「今が5年目」として雇止めするというものであり、いわば大量不当解雇です。この方針の影響を受ける非正規職員は、2018年3月末に1,500人おり、2020年 3月末までには合わせて3,000人を超えると見積もられています。法改正を逆手にとり法の趣旨とまったく反する方針であり、全国的にも類例のない極めて異常な事態です。いま、東京大学でも大量雇止めが問題になり、全国への波及が心配されていますが、東北大学が東大に悪影響を与えたのかもしれません。
大学資料によれば、2016年5月1日現在の東北大学の教職員総数は10,372人。そのうち正規職員は5,113人の49.3%で、非正規職員は5,259人と、実に50.7%と半数以上を占めています。いわば東北大学の教育・研究の5割以上が非正規職員で支えられているという驚くべき実態にあります。
東北大学においては、自らの歴史と未来を揺るがす深刻な問題と言わねばなりません。国立大学時代から、「定員外職員」として採用されたいわゆる“非正規職員”の定員化を、大学挙げての運動として推進してきたことは、記憶に新しいことです。こうした非正規職員の方々に対して、正規職員にするために努力するのではなく、逆に全て雇止めしようというのですから、全く理解に苦しみます。
東北大学における学問・研究の発展、真理の探求の推進を願う大学人であれば、教育・研究業務の多くを担い、蓄積してきた、全教職員の半数を超す「非正規職員」をいとも簡単に雇止めするなどという方針を打ち出せるはずがありません。2年程度の任期で派遣されている文部官僚の“行政主義”“財政優先の業績主義”により、大学の将来を危うくすることなく、東北大学が本来の「大学の自治を基本にした大学運営」を取り戻さなければなりません。
東北大学の全ての教職員の皆さん。
今こそ、「大学の自治」、「学問研究の自由」を守り抜く立場を再確認し、東北大学の未来を支える基盤をいたずらに損なうような方針を変えさせようではありませんか。全大学構成員の合意をもとに民主的な大学運営を行うことこそが、真の教育・研究の発展の基本です。
現在、その一つの焦点となっている「非正規職員3200名の雇止め」という、信じがたい“方針”の撤回を実現されるよう、強く要請するものです。
2017年10月4日
東北大学元教職員