宮崎大学で軍事研究を行わないことを求める緊急声明 [要望]
明石 義人(宮崎大学名誉教授,元付属図書館長) )
今井 富士夫(宮崎大学名誉教授,元工学部長) )
大坪 昌久 (宮崎大学名誉教授,元工学部長) )
緒方 明夫 (宮崎大学名誉教授,元学生部長) )
菊地 正憲(宮崎大学名誉教授,元副学長(目標評価担当))
新城 敏晴(宮崎大学名誉教授,元付属図書館長) )
中澤 隆雄 (宮崎大学名誉教授,元工学部長) )
西 亮(宮崎大学名誉教授,元付属図書館長) )
平野 公孝 (宮崎大学名誉教授,元工学部長) )
藤原 宏志(宮崎大学名誉教授,元学長) )
本田 親久(宮崎大学名誉教授,元工学部長) )
(50音順) 2017年5月1日
国立大学法人宮崎大学長 池ノ上 克 殿
日本学術会議は,3月24日に,科学者の過去の戦争協力の反省から生まれた”軍事研究を行わない”とする二つの声明(1950年,1967年)の継承を「軍事的安全保障研究に関する声明」として改めて決議しました.
私たちは,かつて宮崎大学において学長,副学長,付属図書館長,学生部長,学部長として管理運営に携わった者として,この学術会議の声明を支持するものです.特に,次の項目は,声明の骨格をなすものとして重視しています.
1.防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度は,防衛省の防衛技術戦略の中のファンディング制度として明確に位置付けられています.このため,現在募集中の30テーマの研究課題も,将来の装備開発につなげるという明確な目的をもっています.したがって,たとえ基礎研究といえども,軍事研究の一環であることは明らかです.これを文部科学省の科学研究費補助金をはじめ他省庁の公募型研究費と同一視することはできません.
2.学術会議の声明では,大学等に軍事研究に関する技術的・倫理的審査を行う制度の設置を求めています.ただし,その審査にあたる基本として,研究の入口での研究資金の出所等に関して慎重に判断することを求めています.軍事組織からの資金で行う研究が軍事研究にあたるからです.
一方で,国立大学法人化後の運営費交付金の削減が,宮崎大学をはじめ多くの国立大学で,教員の自主的な判断で教育研究に使用できる校費が,年間で10~20万円という事態を引き起こしています.このような国立大学の危機的な財政状況の中に,防衛省の多額の研究費が流入することの意味は,極めて深刻です.法人化にあたり衆参両院の文教委員会で決議されたように,日本の高等教育を充実させるための資金の投入を求めるものです.
私たちは,全学研究委員会において,軍事研究を行わないという基本的な立場で厳格な技術的・倫理的審査が行われることを期待します.また,宮崎大学としても学術会議の方針を支持し,平和や人類の福祉に貢献する教育・研究を推進することを明確にすることを要望いたします.
組合新聞 No.740 2017.5.15.pdf