1.すべての大学病院において、新型コロナウイルス感染症対応に従事する教職員に充分な手当を支給することができるよう財政支援を行うこと。
よう財政支援を行うこと。
新型コロナウイルス感染症対策に関する要望書(その4)
2020年5月25日
文部科学大臣 萩生田 光一 殿
全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 鳥畑 与一
貴職におかれましては、文部科学行政、とくに高等教育の充実にご尽力されていることに心より敬意を表します。また、新型コロナウイルス感染症対策ご尽力されていることに感謝いたします。
この間、国公立大学・大学利用機関・高専の教職員は、新型コロナウイルス感染症対策に伴い、国民の命と健康を守る医療の提供、学生の修学機会の保障、研究機能の維持等、未経験の課題対応に迫られています。限られた財源とマンパワーの中、試行錯誤の対応が続いておりますが、各法人・個人での努力には限界があり、政府・文部科学省による充分かつ迅速な支援が欠かせない状況にあります。
政府・文部科学省におかれましては、この間、様々にご対応いただいているところではございますが、今般の今年度第二補正予算の策定にあたり、下記について要望いたします。引き続き、ご尽力のほどよろしくお願いいたします。
記
<診療従事者への支援について>
1.すべての大学病院において、新型コロナウイルス感染症対応に従事する教職員に充分な手当を支給することができるよう財政支援を行うこと。
大学病院においては、新型コロナウイルスの感染患者やその可能性のある患者に対応する教職員は、国民の命と健康を守るために、感染リスクや精神的緊張度の高い業務に日夜従事しております。法人によっては診療に従事する教職員に対して手当を支給するところもありますが、その財源は自治体の支援金や法人財政のやりくり、学内外からの寄付による新たな基金の創設等によるものとなっております。
大学病院を有するすべての法人において、必要な教職員にもれなく手当を支給することができるよう、政府・文部科学省として充分な財政支援を要望いたします。
<学生支援について>
2.学生支援緊急給付金については対象と支給額を拡大すること。また、できる限り速やかに支給すること。
3.対象者と支給額をより拡大した、継続的な給付金支給、授業料等減免等の追加の経済的支援を行うこと。
これまでに、政府・文部科学省において修学支援法の適用拡大や法人独自の授業料等減免への財政支援、学生支援緊急給付金等の対応が決定されており、一刻も早い支援実施を望むものです。しかしながら、これらは対象範囲が狭く、現今の新型コロナウイルス感染症の影響を受ける学生をカバーしきれるものではありません。
緊急的な状況に鑑みて急ぎ学生への給付金支給が創設されたことは歓迎するものですが、学生の窮状を救うには対象と支給額の拡大が必要と考えます。また、外国人留学生にのみ成績要件が設けられていますが、緊急的な状況にあるすべての学生を救済する目的のもと、平時の成績要件を引き写すのではなく、経済状況によって支援が受けることができるようにすべきと考えます。
これらの支援に加えて法人独自に支援金の給付を決定しているところもありますが、その財源は法人財政のやりくりや既存基金の活用、学内外からの寄付による新たな基金の創設等によって賄われており、各法人での対応努力には限界があります。
一人の修学断念者も出さないために、対象者と支給額を拡大し、継続的な措置が行われるよう、政府・文部科学省としての財政支援を強く要望いたします。
<遠隔授業の支援について>
4.遠隔授業に関し、各法人における、遠隔授業システムの法人契約や既存サーバーの容量拡充、専門的知識をもつ人員の配置、学生へのパソコン貸与や通信環境支援、キャンパス内における通信環境整備等を行うための財政支援を行うこと。
各法人において遠隔授業が実施されていますが、インフラ整備や学生のフォロー等の実施環境にはバラつきがあります。
こうした状況から、政府・文部科学省として、全ての法人で遠隔授業のスムーズかつ効果的な実施ができるよう財政支援を要望いたします。
<大学病院運営への支援について>
5.大学病院の機能維持に必要な財政支援を行うこと。
大学病院では、新型コロナウイルス感染症に対応するための診療体制の見直しや新たな病床確保等、通常の診療体制とは異なる対応が求められる中、臨時支出の増加の一方で診療収入の減少という厳しい経営状況に直面しています。現在の状況が続けば、新型コロナウイルス感染症対応はもちろん、終息後の教育・研究・診療機能や地域医療にも影響が及ぶことが懸念されます。また、今回のような新しい感染症への対応のための治療法の確立や薬品の治験等、医療に関する研究機能の重要性を見ても、大学病院の機能の充実は国民の命と健康を守る必須のことと考えます。
大学病院の教育・研究・診療機能の維持のために政府・文部科学省として緊急の財政支援を要望いたします。
<大学運営全体への支援について>
6.対面型授業の再開、実験設備や図書館等の利用再開やサービス充実等、教育・研究活動の維持とスムーズな本格的再開にむけて、消毒作業や感染拡大防止設備の整備等を行うための財政支援を行うこと。
7.在宅による授業や研究を行うための設備購入(家庭に常置する大学備品の取扱いの弾力化を含む)のための財政支援を行うこと。
各法人では、文部科学省の「感染拡大の予防と研究活動の両立に向けたガイドライン」を踏まえた対応に努めており、それに伴う施設・設備の整備による例年にない支出が生じています。法人によっては学内補正予算編成のために配分済み部局経費等の見直しを行う等の工夫を行っています。しかしながら、その財源は運営費交付金のほか教職員からの寄付等に依っており、政府・文部科学省からの支援は欠かせない状況です。
今後、徐々に通常の教育・研究活動が再開されていくにあたり、第二波の感染拡大防止に備えることはもちろん、業務によっては従来とは異なる、在宅を基調とする教育・研究活動を行うことができる体制を構築する必要性も生じています。こうした備えに必要な設備・機器等の整備等のための積極的な財政支援を要望いたします。
<教職員の労働環境への支援について>
9.教職員が引き続き使命感をもって業務にあたることができるよう労働条件の確保のために充分な財政支援を行うこと。
教職員の労働環境については、新型コロナウイルス感染症に伴う教育・研究面や事務面での業務負荷のほか、不要・不急の業務の延期措置がとられているとはいえ延期が難しい通常業務もある中、時間外・深夜・休日に勤務が及ぶことが多くなっています。
今後、ソーシャルディスタンスを保った対面型授業の再開に伴う必要教員の確保やこの間の教育・研究の補完のために業務負荷がさらに増えることも懸念されます。教職員が教育・研究・診療現場で引き続き使命感をもって業務にあたるためには、労働条件の確保が欠かせず、政府・文部科学省として充分な財政支援を要望いたします。