全大教加盟3組合が第1次一斉提訴:11月27日 (全大教新聞282号・12月より)
11月27日、全大教と各高専教職員組合(原告248人)、高エネルギー加速器研究機構職員組合(原告6人)、福岡教育大学教職員組合(原告4人)が、国家公務員の給与臨時減額に準じた賃金引き下げに対して、国立高等専門学校機構、高エネルギー加速器研究機構、福岡教育大学を相手取り、減額分の支払いを求める不払い賃金請求訴訟を行いました。
また、第2次提訴に向けて多くの組合が検討しており、全大教は裁判闘争の全国的な一層の広がりを目指しています。
【目次】
厚生労働記者会で共同記者会見(視聴はこちらから)
高エネ研職組の原告<6人が水戸地裁に提訴、記者会見を実施・4紙が報道
福岡教育大学教職組の提訴TV放映
<厚生労働記者会で共同記者会見>
厚生労働記者会において、全大教、高専協議会、高エネ研職員組合、福教大教職組の共同記者会見を行いました。
中嶋委員長が今回の訴訟の意義と目的を「国立大学等職員は法人化に伴い民間と同じ労働法制下にありながら、法人は、国家公務員と同様の給与臨時減額を提案し、賃金引き下げの回避努力もせずに、組合の合意もなく一方的に実施した。今回の訴訟は、未払い賃金を請求するものであるが、賃下げは教育研究を行う当事者の労働環境の悪化であり、研究教育の質の低下につながるものである。そして国立大学等の自主的な運営を確保することに裁判の意義がある」と説明しました。
笹山尚人弁護士は、「国立大学法人、独立行政法人の組合による初めての賃下げ訴訟として意義がある」とし、「裁判の争点は、賃金は生活と仕事の誇りにも関係する非常に重要なものであるのに一方的に賃下げするのは許されない、賃下げには高度の必要性などの要件が必要だが運営費交付金も削減されておらず賃下げ理由がないことから労働契約法の第9条、第10条による不利益変更の要件を満たしていない」ことを強調しました。
原告代表として岩崎寛希氏(全大教高専協議会議長・大島商船高専)は、高専の教育研究に対する社会的な高い評価の源泉である教職員の努力に対し、高専機構は「国からの要請があり、国家公務員と同等の賃下げをせざるを得ない」を繰り返し、賃下げを強行し、機構に教職員を守る姿勢がないことからから訴訟したとし、原告は248人に達したことを述べました。栗原良将氏(高エネ研職組委員長)、秋永正廣氏(福教大教職員組合前委員長)が訴訟に至る経緯を説明しました。
会見後に共同通信、大手全国紙記者から詳細な取材がありました。また、全大教は、記者会見の模様を動画でライブ放送する初めての取り組みも行い反響がありました。
<高エネ研職組の原告<6人が水戸地裁に提訴、記者会見を実施・4紙が報道>
高エネ研職員組合から6人が原告となり、11月27日に水戸地裁土浦支部に訴状を提出しました。6人分、6月から11月(6月期の期末勤勉手当を含む)の未払い賃金の支払いと賃下げ前の賃金支払いを受ける地位確認を求めるものです。茨城県庁記者クラブで、6人の原告全員が揃い記者会見を行いました。
船越義裕原告団長は、小林・益川理論の検証などノーベル賞に貢献する職員の寝食を忘れた労苦に対し賃下げで報いられたこと、「運営費交付金の削減がなければ賃下げは行わない」という労働協約を反故にしたことが訴訟の契機になったことを説明しました。鮎川泰輔弁護団長からこの事件の法律的な意義について発言がありました。他の原告からも、専門分野以外の書籍を私費で購入してきたが、家族から理解を得られなくなったことやローンの資金計画が狂ったこと等の発言がありました。出席した8人の記者からも活発な質疑があり、今回の事件の社会的重要性が受け止められました。
翌日には、「茨城新聞」、「産経新聞」「読売新聞」各地方面、「常陽新聞」に『給与削減不当と提訴 高エネ研職員ら』などの見出しで掲載されました。
<福岡教育大学教職組の提訴TV放映>
福岡教育大教職組の原告団は、福岡地方労働委員会に誠実な団体交渉と資料開示のあっせん申請を行い、福岡地方裁判所に賃金不払い請求に関する訴状を提出しました。
福岡地裁司法記者会での記者会見には10社以上のTV・新聞など報道機関が参加、関心の高さを示しました。会見では、全大教森田副委員長が、全国的訴訟の意義と状況を説明、弁護団が大学自治と労働契約法の視点から訴訟の争点を明らかにしました。原告団を代表して、西崎緑氏(福岡教育大副委員長)が「大幅賃下げという重大な不利益変更なのに、交渉での大学法人の回答は二転三転し、合理的説明ができないまま、賃下げを強行した。こうした事態を許せば組合の存在意義が問われる。私たちは法人の自律性確保と労使関係の正常化のために訴訟を行う」と表明。
記者会見の後、報告集会が行われ、全大教九州の多くの単組、国公九州ブロックの支援団体など10単組36人が参加、引き続き支援の輪を広げていくことを確認、連帯感溢れる集会となりました。
当日RKB毎日がTV放映、翌日「朝日新聞」「毎日新聞」各地方面、「西日本新聞」で『給与削減不当、大学職員ら提訴』等の見出しで掲載されました。
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