2023年12月13日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会
2023年12月13日、臨時国会において、国立大学法人法の一部を改正する法律案が可決・成立した。
この改正国立大学法人法は、①国際卓越研究大学における合議体を位置づけるという本来の法改正の趣旨から逸脱し、それ以外の大学に運営方針会議設置を義務付けるなど国立大学の運営に政府が介入するものとなっている、②運営方針会議の委員選任は大臣承認が必要で、それによる政府の影響拡大が懸念される、③屋上屋を架す運営方針会議の設置は国立大学法人の円滑な運営にマイナスである、といった重大な問題をもつものである。
また、そもそもなぜ法改正が必要なのか、法律案はいつ誰が決めたのか、といったことも明らかにならないという、法律案策定過程が民主的ではない欠陥をもつものでもある。法律案内容が明らかになったのが10月31日の閣議決定であり、その内容が重大であるにもかかわらず、関係者への説明や意見聴取が不十分であったという問題もある。
全大教は、11月6日に声明を発表し、国会審議の間も議員への要請を行い、法律案の問題点を訴えてきた。全大教に加盟する多くの組合は、反対声明を上げ、また、それぞれの学長にこの問題に関する意見表明を行うよう働きかけた。大学関係者をはじめとする団体は、反対署名や院内集会などの反対運動に取り組んだ。そうした活動は社会にも受け止められ、マスコミも深刻な事態であることを社説、記事で報道した。
国立大学では、2004年の法人化、そして2014年の学校教育法改正などを経て、教育研究に携わる教職員、そして大学の真の受益者である学生や市民の声が大学運営に反映されないトップダウン体制が強化されてきた。今回の改正国立大学法人法は、そうした現場や受益者とさらに距離の遠い運営方針会議が強大な権限をもち、大学の方針を決定していく、そしてその委員は文部科学大臣が承認するという、大学自治と自律的な改革を後退させるものである。
わたしたちは、大学自治は教育と研究を実際に担っている一人ひとりの力で築きあげてきたものであり、今後も自律的に継続し発展させていかなければならないものであると改めて主張する。新しい体制のもとでも、現場の状況を踏まえた必要な大学運営、大学改革のために声を上げつづけ、そのことで社会からの期待に応えていく。