国公立大学・大学共同利用機関・高専の教育研究機能を維持しつつ、何よりも教職員・学生を新型コロナ感染の脅威から守るために、私どもとしても事態の終息に最大限協力していく所存です。
新型コロナウイルス感染症対策に関する要望書(その2)
2020年3月18日
文部科学大臣 萩生田 光一 殿
全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 鳥畑 与一
貴職が、文部科学行政、とくに高等教育の充実に尽力されていることに、心より敬意を表します。また政府・新型コロナウイルス感染症対策本部「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」(2月25日)等に基づいて国公立大学・大学共同利用機関・高専の教職員への感染拡大防止等にご対応を頂いていることに感謝致します。
さて、我が国における新型コロナ感染数に歯止めがかからないなかで、世界的にはWHOのパンデミック宣言(3月12日)がなされたように大きな広がりを見せています。また日本の中国・韓国からの入国規制強化や米国の欧州からの入国強化に見るように各国の感染症防止対策強化による様々な影響が本格化しつつあります。国内大学等では卒業式・入学式の中止に続き授業開始を遅らせる大学も出てきています。
このような状況を踏まえて、国公立大学・大学共同利用機関・高専の教育研究機能を維持しつつ、何よりも教職員・学生を新型コロナ感染の脅威から守るために、私どもとしても事態の終息に最大限協力していく所存です。
つきましては、下記の事項について、各法人に対して特段の措置を要請していただくとともに、政府として必要な予算措置等の特段の措置を講じていただきますよう要望致します。
記
1.教職員の就業について
(1)感染対策への対応に従事している教職員の業務実態に応じて、例えば、部署を超えた応援体制の整備や臨時的な看護師増員等を行うこと。政府においては、こうした対策のための予算措置等の特段の措置を講じること。
(2)2月28日に提出した教職員の就業に関する要望事項(別紙)について、引き続き、特段の措置を講じること。
(3)授業開始の延期等に至った場合の代替策を講じるにあたっては、現場の意向を十分に踏まえて無理のないようにすること。また、必要な授業回数確保のためにやむを得ず土日・祝日での講義を行う場合は、時間外・休日労働手当を適切に支給すること。政府においては、こうした対策のための予算措置等の特段の措置を講じること。
(4)授業開始の延期や開講予定授業の中止等に至った場合には、例えば非常勤講師等の収入減が予想される教職員に対して、次年度の授業準備、自主学習支援、自宅研修等に従事させる等により、収入減とならない措置を講じること。
2.学生の修学・学習機会の保障、教育・研究活動の停滞の防止について
(1)各都道府県での感染防止対策の効果を踏まえつつ、授業開始時期を弾力的に変更できるように必要な措置を早急に講じること。
(2)授業開始の延期等に至った場合には、学生の学習機会の保障のための代替策を講じること。また、単位認定や卒業・修了に影響が及ばない措置を講じること。
(3)講義に関しては、単位の実質性を担保した上で、教室等での対面形式で行われるものにこだわらず、レポート提出やビデオ教材学習等を用いた柔軟な対応ができるようにすること。
(4)附属図書館や研究室・設備等の学習・研究に必要な学内施設については、感染対策を十分に行った上で利・使用できるようにすること。
(5)新型コロナ感染の広がりと自粛等による経済的影響が深刻化する中で、進学予定の学生と在学中の学生を支える家計の悪化が懸念されるので、入学金・授業料の納付時期や形式を弾力化するとともに、修学の継続が困難になる学生に対して臨時的追加の経済的支援を行うこと。
(6)卒業予定の学生への就職内定取り消しの防止策を早急に講じること。また、内定取り消しを受けた学生の大学施設利用を認める等、就職活動の再開に向けて必要な支援策を講じること。
(7) 感染拡大防止の観点から我が国及び諸外国で入国の制限が始まり、今後さらに広がる可能性があり、このことによって、送り出し及び受け入れの留学生が、留学先国に入れない、あるいは本国に帰国できない等の不利益が発生しつつある。こうした留学生の修学に支障をきたすことのないようにすること。
3.上記に関する予算措置について
(1)上記の感染対策及びそれに関係する措置によって、教職員、学生及び法人が負う経済的負担については、政府が責任をもって補償すること。
以上