分断を乗り越えていこう
第58回定期大会で信任され、2期目の中央執行委員長となりました。笹倉万里子です。よろしくお願いします。
この2年間で、世界はさらに対立を深めていっているように思います。継続するロシアとウクライナの戦争に象徴されるような国同士の対立、パレスチナ地域でつづく民族間の対立といったことだけでなく、一つの国の中での分断も顕著に表面化してきたと思います。そのひとつの象徴がアメリカの第二次トランプ政権ですが、なかでも、わたしたちに特に関係するのは、トランプ政権と大学の対立でしょう。
しかし、われわれ労働組合は、分断とは対極の「連帯」を基本とする組織です。お互いの違いを乗り越え、高等教育の充実や労働条件の改善というより大きな観点で連帯し、より多くの人に共感を広げることによって活動が活性化します。しかし、社会がどんどん分断されていこうとしている中で、連帯そのものが難しくなり、労働組合の活動を広げていくこともどんどん難しくなっている気もします。そのことはみなさんが日々肌で感じておられることでしょう。これは1期目の就任挨拶でも申し上げましたが、労働組合の組織率低下は大学だけではなく、日本だけでもなく、世界的な傾向です。
翻って、国公立大学・国立高専・大学共同利用機関(以下、大学等)の状況を見てみましょう。相変わらず運営費交付金は増えず、必要経費は増加し、国立大学等の財政は非常に苦しいです。人勧に準拠していた私たちの給与も、完全準拠はできない大学が増えてきました。実質的な人員削減が行われている大学等も多く、研究教育に支障が出始めています。ただ、これまでと少し違うことは、私たち労働組合だけでなく、大学執行部や国も、少しずつ問題の深刻さに向き合う姿勢を見せ始めていることです。これまで、財政問題に対して「外部資金を取ってこい」としか言わなかった大学執行部が、運営費交付金の増額が必要と言い始めています。国立大学協会も運営費交付金の拡充を強く求めています。政府の「骨太の方針」にも2024年には「運営費交付金や私学助成等の基盤的経費を十分に確保する」、2025年には「物価上昇等も踏まえつつ運営費交付金や私学助成等の基盤的経費を確保する」という文言が入りました。全大教中央執行委員会が取り組んでいる国会議員要請でも、運営費交付金の増額に理解を示す議員が増えてきています。まだ実際に運営費交付金の増額に結び付いていないとはいえ、大学等の危機がすこしずつ認知されてきていると思います。
さまざまな困難があり、思い通りにいかないこともありますが、組合活動とは本来楽しいものです。ご一緒に楽しい組合、そして楽しい大学等を作っていきましょう。
全大教中央執行委員長 笹倉 万里子(鳥取大学教職員組合)
2025年7月25日