2025年11月7日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会
国立大学の授業料について、私たちは、この間、2024年6月と10月に「(声明)国立大学の授業料の大幅引上げを危惧します-今こそ、高等教育の無償化、奨学金制度の充実を」を発表しました。これらの声明で指摘した国立大学の授業料引上げの動きが、多くの国立大学に広がろうとしています。
これまでの声明で指摘したように、教育・研究の高度化・多様化に伴って、学生生活に必要な費用は増加しています。国立大学の学生のおよそ半数が奨学金を受給しています。日本の高等教育段階における公財政教育支出はOECD平均から後れをとっており、私費負担の割合もOECD平均と比べて高い状況にあります。大学教育を受けるにあたって学生と家計の負担は現在でも決して少なくありません。
国立大学が授業料の引上げに動く背景には厳しい財務状況があります。教育・研究の高度化・多様化に伴う必要経費の増加や急激な物価高騰の一方で、大学運営の基盤財源である運営費交付金は法人化時から減少し、増えていません。各大学の現場では、研究費や人員が不足し、設備の更新もままならない状況の中、教育・研究の維持に精一杯の努力を行っています。だからといって私たちは、授業料の引上げを望むものではありません。
大学における教育・研究は学生個人の利益となるだけではなく、未来への投資であり、その受益者は社会全体です。そのための費用は学生と家計に求めるのではなく、国の責任において対応すべきものです。今求められていることは、授業料の引上げではなく、大学運営の基盤を支える運営費交付金の抜本的な増額です。
改めて、運営費交付金の抜本的な増額と、憲法が規定し、国際人権規約の「教育を受ける権利」の下、高等教育の漸進的無償化と奨学金制度の充実を求めます。そして、各大学におかれては、学生との十分な対話を行うことを求めます。
私たちは、この間、関係各所への要請などを行い、理解を求めてきました。引き続き、社会全体へ理解を広げるべく、努力していく所存です。