【声明】「子どもの自主性・自律性を育むために現場の教員の自主性・自律性の尊重を」
2024年2月27日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会
近年、将来の予測が困難な現代社会において、ポスト産業社会・知識社会を発展させる人材として、自主性・自律性を持った個性的な人材の育成が求められています。また、子どもが抱える課題が多様化・複雑化する中で、それぞれの状況に寄り添ったきめ細かい教育の実施が求められています。
このような中、私たちは、教育がもつ目的のうち最も重要なものは個人の人格的完成であり、そうした観点からこそ自主性・自律性の育成が必要であると考えています。そして、子どもたちの自主性・自律性を育てるためには、教員の側に自主性・自律性がなくてはなりません。教員が上意下達のトップダウン体制に組み込まれ、がんじがらめになると、その状況は子どもたちにも伝わり、「言われたことしかやらない人間」「全国一律の判で押したような無個性な人間」を育てることになりかねません。
よりよい教育の在り方は、現場から遠く離れた政策決定者によってではなく、子どもたちと触れ合い、その成長をわがこととして願い感じる現場の教員によってこそ創り出されていくべきものです。
2024年1月、奈良教育大学附属小学校での「不適切な教育」が報道されました。同小学校が調査報告書をまとめ、そのなかで対応策を示し、文部科学省がその徹底を求めています。本件に関する対応にあたっては、附属学校が、大学が設置する学校であるという位置づけと独自の役割が十分考慮される必要があるでしょう。国立大学の附属学校は、新たな教育の試みを行うとともに、大学と連携して多くの実習生を引き受け教育実習に携わり、教員養成の一翼を担う重要な役割を担っています。それぞれの学校が、これまで地域と培ってきた関係の中で、地域の教育を牽引する役割を果たしています。本件に関係する各機関におかれましては、現場の教員の自主性・自律性にもとづく優れた教育の取り組みが失われる結果とならないよう、奈良教育大学が教員や保護者とも十分に議論を重ねる中で納得できる結論を得ることのできる環境をつくり、見守ることをお願いしたいと考えます。