―人勧のみを論拠とする合理性無き賃金切り下げに反対する―

2009年度人事院勧告に関する声明
―人勧のみを論拠とする合理性無き賃金切り下げに反対する―
2009年8月11日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会
1.基本給と期末勤勉手当大幅切り下げの人勧
人事院は8月11日、国会と内閣に対し、国家公務員の賃金について、基本給及び期末勤勉手当をともに引き下げる等の勧告と報告を行いました。
内容は賃金について、民間では月収は減少し、一時金は大幅に減少しているとして、(1)年間平均給与 マイナス15万4000円、2.4%の引き下げ、(2)期末勤勉手当を年間0.35ヵ月(6月期0.2ヵ月、12月期0.15ヵ月)引き下げるというものです。
各法人は今回の人勧を受けて、6月期と同様に基本給と期末勤勉手当切下げを提案してくるものとみられます。しかし、それは後述するように重大な問題点をもつものです。
2.基本給及び期末勤勉手当切り下げの問題点
第一に、人事院は引き下げの根拠を民間の給与水準が下がっていることをあげていますが、人事院勧告制度が国家公務員の労働基本権制約の代償措置であること、民間の給与水準の把握方法に疑問があること等、引き下げ勧告の合理性は厳しく問われなければなりません。
第二に、国家公務員への賃金引き下げは、民間賃金の引き下げにつながり、悪化している労働者の所得水準全体を引き下げ、個人消費の更なる落ち込みにより、景気の低迷という悪循環を招きます。
第三に、0.35ヵ月分の期末勤勉手当切り下げによって、概ね“教授(55歳)26万円、准教授(46歳)21万円、係長(47歳)14万円、係員(32歳)9万円”の年間収入減となり、基本給の減額とあわせて国立大学等教職員の生活に大きな打撃を与えます。それにより人材確保が一層困難になり、人材流出に拍車を掛けることになります。それは、運営費交付金の削減で大きな打撃を受けている国立大学等の教育研究機能を更に悪化させるものです。
第四に、人勧は国立大学法人教職員の賃金を引き下げる理由にはなりません。
国立大学法人教職員は人勧の対象外であり、賃金等の労働条件は労使の団体交渉により決定されるものです。また、運営費交付金の基本額は固定されており、人勧にあわせて上下するものでなく、前年度水準の人件費は担保されており財源はあります。更に人勧準拠を言うのであれば、まず、国立大学法人等職員の賃金が国家公務員よりも10数%も低い賃金水準を是正すべきです。
3.不利益変更を許さず、賃金切り下げ反対のとりくみ強化を
不利益変更は労働契約法9条において「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と明確に定めています。
全大教は、賃金の切り下げ=不利益変更に反対し、要求の前進を勝ち取るため、組合員拡大と結合して単組と連携したとりくみを全力で進めるものです。
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