深刻な感染拡大の中で迎える大学入学共通テストにおいて、受験生の公平性の確保のためにも、試験業務に携わる教職員の安心が欠かせません。受験生が安心してこれまでの努力の成果を発揮できるよう、受験生はもとより試験業務従事者の感染防止にも一層の安全確保を期すため以下の要望をさせて頂きます
「大学入学共通テストにおける試験の公平性と
受験生および試験従事者の安全確保についての要望」
2020年12月23日
独立行政法人大学入試センター
理事長 山本 廣基 殿
全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 鳥畑与一
貴職におかれましては、来る大学入学共通テスト実施における新型コロナウィルス感染対策に鋭意取り組まれていることに敬意を表させて頂きます。
大学入学共通テスト実施に向けては、すでに貴職より「新型コロナウィルス感染症予防対策について」(11月6日付け第132号)が通知されています。各大学では、受験生が安心して試験に臨むことが最も重要ですが、新型コロナウィルス感染の第三波とも言うべき拡大により、政府のGoToトラベルの年末年始における一時停止が決定されることに表れている通り感染リスクは一層高まっています。このように深刻な感染拡大の中で迎える大学入学共通テストにおいて、受験生の公平性の確保のためにも、試験業務に携わる教職員の安心が欠かせません。受験生が安心してこれまでの努力の成果を発揮できるよう、受験生はもとより試験業務従事者の感染防止にも一層の安全確保を期すため以下の要望をさせて頂きます。
(1)大学入学共通テストは全国一斉に実施され、受験生間の公平性が何よりも求められます。そうしたなか、通知では「発熱・咳等の症状のある受験生については」休養室等で対応することとされていますが、休養室等で対応するかどうかの判断は「症状の有無を試験監督者により確認し、本人の申し出により」とされており、「申し出がない場合でも、明らかに激しい咳を何度もしていることなど」の場合は、試験監督者の判断で誘導とされていますが、その判断基準は曖昧さを免れず、感染拡大防止と受験の公平性を確保する観点から、例えば新型コロナウィルス感染の重要な判断基準とされている発熱の症状を基準に試験監督者が判断できるように改善されることを要望します。この点で、「体調不良者を検温するため、休養室等には体温計を準備すること」とされていますが、試験会場ごとに体温計(非接触体温計等)を常備し、試験監督者が受験生の体調不良の判断を速やかに行い、別室に誘導できるように手順の改善を要望します。
(2)「無症状の濃厚接触者」は、初期スクリーニングでの陰性証明があり、かつ受験当日も無症状であることを条件に別室での受験を認めることとされています。「無症状の濃厚接触者から他の受験生や試験監督者に感染するおそれは極めて少ない」とされますが、別室での入試業務従事予定者から不安が寄せられています。別室での入試業務においては通常の試験会場よりも感染のリスクが高まることに鑑み、別室での試験監督従事者の感染防止に一層の対策、例えば医療用マスク配布と手袋を配布し、その装着を行うこととするなど特段の感染防止対策を講じられることを要望します。
(3)「試験室の座席間の距離の確保」についてはなるべく1メートル程度確保すべきとされていますが、それは試験時の座席空けで確保できるとされています。しかし高校等の教室を試験会場とする場合は、横はともかく縦の距離の確保には困難が予想されます。十分な受験生間の距離確保が可能になるよう、該当する試験会場で十分な教室数を確保する等の措置をされることを要望します。
(4)休養室への医師、看護師の配置、マスク、速乾性アルコール製剤、試験室の机、椅子の消毒のほか、体温計の配備や手袋の支給、また十分な距離確保のための教室や人員確保のために必要となる追加費用については、試験実施大学に対し十分に措置されることを要望します。