人事院は本日、国家公務員給与について月例給を若手重点に全体平均で約1%、一時金については0.10月を引き上げること、在宅勤務手当や柔軟な働き方などを含んだ勧告を行った。
「国公立大学・高専・大学共同利用機関で働く教職員の賃金改善を求める
~2023年人事院勧告を受けて~
2023年8月7日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会
人事院は本日、国家公務員給与について月例給を若手重点に全体平均で約1%、一時金については0.10月を引き上げること、在宅勤務手当や柔軟な働き方などを含んだ勧告を行った。
今回の勧告は引き上げとなったが、この間の物価高騰に対して十分な内容とはなっていない。今般の経済状況や、国家公務員行政職(一)職員と国立大学等の一般職の職員を比較したラスパイレス指数から国立大学等の給与水準が法人化以降も低く留め置かれていること、教員の給与水準は人材獲得で競合する大手私立大学より遙かに低い状況となっていることを鑑みれば、全世代にわたる更なる引き上げが求められる。また、在宅勤務手当や柔軟な働き方への対応については、教育研究の現場や教職員のワーク・ライフ・バランスを考慮した充分な検討が必要である。そして、国⽴⼤学等の教職員は⾮公務員であり、賃⾦は労使交渉によって決定される。労使交渉においては、民間労働関係法規に基づき、労使対等のもと法⼈側には誠実交渉義務が課せられている。
多くの国立大学等において教職員の賃金の原資は、運営費交付金に依るところが大きいが、この運営費交付金のうち、教職員の賃金の主な原資となる基盤的経費は、法人化以降削減され続けている。基盤的経費の削減に加え、昨今の電力料金や研究資材などの物価高騰への対応から当初配分される予定であった教育・研究・医療のための予算の削減・凍結が規模の大小を問わず多くの大学で行われている。こうした現状のもと、優秀な人材確保はおろか、必要な人件費すら削減を迫られる状況にある。国立大学等は、国民が平等に高等教育を受ける機会の提供と、「市場」だけでは見出せない価値を創出するための研究活動をすることが重要な使命であるが、こうした営みが、運営費交付金の基盤的経費の削減と物価高騰により危機的状況に瀕している。
この間、大学ファンドの創設と、その運用益を配分する国際卓越研究大学の制度が動き始めたが、この仕組みによる大学への資金配分は極めて不安定であり、しかも資金配分の対象となる大学は、一握りである。研究者は、国際卓越研究大学に指定されるような機関のみで研究活動を行うわけではなく、様々な大学・研究機関で経験を重ねながら研究成果を確立する。ごく一部の大学に大きな資金を投入すれば科学技術が発展するというものではない。
私たちはこの間、様々な自主的改革を通じて資金の獲得や社会の期待に応える努力を継続してきている。私たちは今後、各法人と賃上げに向けた団体交渉に臨むものである。各法人には教職員が置かれた状況に応える賃上げを強く求めるとともに、政府には基盤的経費の拡充を改めて求めるものである。