大学における軍事研究(予算)をめぐる問題について
~日本学術会議声明を受け、愛知教育大学憲章の意義を再確認する
大学を含む日本の科学者の代表機関である日本学術会議において、2017年3月24日に「軍事的安全保障研究に関する声明」が出された。その中では、過去の1950 年「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」旨の声明及び1967 年「軍事目的のための科学研究を行わない声明」 を継承することが表明されている。
今日の世界・日本の戦争への危機が進行している情勢に想いを馳せ、我々はこの声明を強く支持するとともに、大学における研究者・教育者の一員として日本の学術の一端を担うものとして、このような声明が出されたことの意義を確認するとともにこれを誇りに思うものである。
このことに関連して、本学では、2003年に教授会での真摯な議論を踏まえて制定された「愛知教育大学憲章」において、以下のような重要な宣言内容が確認されている。
1) 「愛知教育大学の理念」において: 「教育研究活動を通して世界の平和と人類の福祉及び文化と学術の発展に努めることが、普遍的使命であることを自覚し、愛知教育大学憲章を定める。」
2) 「教育目標」として: 「平和で豊かな世界の実現に寄与しうる人間の教育をめざす。」
3) 「教育研究のあり方」「運営のあり方」として: 「学問の自由と大学の自治」「大学の民主的運営」「人権の尊重」
この1) 2)にあるように、本学の使命としての「平和」を高らかに述べていることの今日的意義は大きいと考える。また、3)に述べられている内容は、現政権による、大学予算の’兵糧攻め’と言えるような削減の一方で、研究・教育に対する権力的介入、そして官僚機構の忖度に基づく政策決定の問題が次々に明らかになっている中で、あらためて重要な意義を持つものとなっていると考える。
以上のことを踏まえて、あらためて、本学の「憲章」を我々の依って立つべき理念として尊重し、平和と人類の福祉、学問の自由と民主主義を尊重した大学憲章の理念に基づく大学運営・教育・研究がこれからも行われることを強く希求し、合わせて学術会議の声明を確認し、軍事研究に関わる可能性のある研究を行わないことはもちろん、そのような可能性のある予算を利用しないことを強く求めるものである。