緊急提言(近畿ブロック知事会) 国立大学法人運営費交付金に関する緊急提言
近畿の国立大学は、教育を通して幅広い分野の人材を多く輩出するとともに、地域産業や地域の文化・芸術の振興、地域医療の充実などの側面で多大な貢献を果たすなど、地域の知的創造力の源泉として欠くことのできない役割を果たしている。
今後、地域の活力を再生し、地方の成長力を増進させ、ひいては我が国の持続的発展を図る推進エンジンとして、その機能、役割の強化が不可欠である。
しかしながら、本年2月以降、経済財政諮問会議等において、国立大学法人運営費交付金の配分について、成果主義、競争原理を導入すべきとの提言が相次いでいる。
こうした中、財務省は科学研究費の配分割合に基づき運営費交付金を算定し、6割近くの大学において交付金が、50%以上減少するという結果を示した。例え、シミュレーションとはいえ、このような一面的な指標に基づく不合理な配分を示すことは、国の財政再建を優先し、地方大学の存続を不可能にするものであり、地方の切り捨て、地域の衰退につながることから、断じて容認できない。
また、「基本方針2007(仮称)」(原案)においては、国立大学法人運営費交付金について、大学の努力と成果を踏まえたものとすること、新たな配分の在り方について具体的に検討することが明記されるなど、成果主義、競争原理の導入による配分ルールの見直しが方向づけられ、地方の国立大学が安定的な運営を行う上で極めて厳しい内容となっている。
このままでは、地方の国立大学が担うべき役割を持続的に果たすことが困難になることが懸念されるため、下記の項目について、国の責務として真に実効ある措置を講じられるよう提言する。
記
1 国立大学法人運営費交付金の総額確保
地域において地方の国立大学が担う役割の重要性を踏まえ、まずは国立大
学法人運営費交付金について、大学の教育、研究の基礎を支える基盤的な交付金として、しっかりと総額を確保すること。
2 運営費交付金の配分における算定の方向性見直し
運営費交付金の配分における算定の方向性の見直しにあたっては、地域間格差を無視した一方的な成果主義、競争原理を導入することなく、地方の国立大学が地域において果たしている役割に鑑み、地方大学の運営に必要な交付金額を確保すること。
3 地方の国立大学の経営基盤の確立
地域再生に向けて、地方の国立大学が地域の知の拠点として、多様な機能を果たすことができるよう、その経営基盤の確立に向けて、所要の措置を講じること。
平成19年6月14日
近畿ブロック知事会
福井県知事 西川 一誠
三重県知事 野呂 昭彦
滋賀県知事 嘉田 由紀子
京都府知事 山田 啓二
大阪府知事 太田 房江
兵庫県知事 井戸 敏三
奈良県知事 荒井 正吾
和歌山県知事 仁坂 吉伸
徳島県知事 飯泉 嘉門
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