具体的な重点取り組み事項は、以下の通りです。
①同一労働同一賃金、不合理な待遇差の解消に向けた取り組み
②定年延長に関する取り組み
③ウィズコロナにおける教職員の就業に関する要求
④全国的な組織拡大・強化運動の検討
次に、継続的な取り組み事項としては、
①高専に対する運営費交付金の効率化係数撤廃を要求
②賃金をあげ、ラスパイレス指数の格差を改善すること
③全ての高専において超過勤務手当の支払いが労働基準法に則った形で適性に行われるよう高専機構に求めること
④高齢者雇用安定法に基づいて、希望のある教職員はすべて再雇用すること
⑤人件費削減策としての「定年退職教員の1年間不補充」や、「教員の人員枠整理」の早期撤廃を要求すること
⑥待遇改善(業務に必要な公用車を手配、昼休みの1時間確保)
⑦有期契約労働者の正職員化
令和4年度人事院勧告を踏まえたと使用者側が称する給与改定については、4月に遡及して勤勉手当と一部年齢層の月例給が引き上げると言うものであったので、労働者側は改定を妨げはしませんでした。一方で、次の二つを給与改定に盛り込むよう求めました。
・そもそも高専機構教職員の給与水準は同業同職種の給与に比して低いことから、人勧を越える引き上げをおこなうこと。
・勤勉手当の引き上げではなく、期末手当の引き上げを行うこと。
しかしながら使用者側は我々の要求を容れず、使用者側提案で妥結となりました。
また、2023年1~2月にかけて、定年年齢引き上げをめぐる交渉を行いました。現行定年年齢を越えた年齢において給与が七割に減じられることと職務の釣り合い、「役降り」者が非管理職ポストを消費することで下位ポストの者の昇進が遅れる懸念があること、が焦点でした。これにまつわり労働者側は次の二つを要求しました。
①希望降任制度を定めること(焦点前者に対応。労働側は当然、給与七割減そのものに反対しましたが、それに引き続いて事前の提案として要求)
②「役降り」者の「役降り」後のポストとしては、通常の昇進ラインから外れたポストを設けてそれを与えること(焦点後者に対応)
その結果、使用者は①の要求を容れましたが、②は拒否しました。労働者側として不満が残るものでしたが、低年齢の引き上げは基本的に必要なものと考え、妥結したものです。なおこの交渉に際しては、本交渉前の予備交渉や加盟単組とのオンライン会合を複数回行いました。このおかげで、労働者側としてしっかりと考えをまとめて交渉に臨めたと感じております。
更に、秋には高専設置基準の改定が行われました。これに関しては「基幹教員」の考え方や、研究室の扱いなど多々問題があり、労働者側としてパブリックコメントも文科省へ寄せたところです。中でも特に問題であったのは、専攻科設置基準の策定が事実上、放棄された点でした。これはまさに、「専攻科という組織へは恒常的な人員枠と予算を付けない」と宣言したのも同然の措置であり、教職員の長年にわたる期待を裏切るものでした。この件については、11月の文科省会見席上にて、同省高等教育局に対して厳重に抗議し、見直しを求めています。
すべての高専では過半数労働者代表が選出され、労働者の代表として変形労働協定や、時間外労働協定の締結、また高専機構就業規則が変わるたびに意見書の提出を求められています。全大教高専協議会は、たとえ未加盟であったとしてもこれら過半数代表者に向け、機構本部との団体交渉の経過や交渉内容について情報を共有し、互いに信頼関係を醸成しながら、ゆくゆくは、組合結成や、加盟単組の拡大につなげて行きます。また、公立や私立の高専とも連携を強め、全国高専労働者の要求の前進を図ります。