国公立大学・高専・大学共同利用機関で働く教職員の賃金改善を求める~2020年人事院勧告を受けて~(声明)
2020年10月7日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会
人事院は、本日、2020年度の国家公務員給与について期末・勤勉手当を4.5月分から4.45月分に0.05月分引き下げる勧告をおこなった。これが実施されると行政職(一)表適用職員の年間給与は平均21,000円減額となる。月例給は調査結果に基づき改めて必要な報告及び勧告を行うとしている。
人事院は2014年以降、月例給とボーナスの引き上げ勧告をおこなってきたが、今年の勧告は、新型コロナ感染症の影響による景気の後退、民間企業の業績悪化を反映し、引き下げ勧告となった。
国家公務員、地方公務員等は新型コロナ感染症拡大防止のため、自らの感染防止を徹底しながら精神的にも非常に厳しい中で職務を遂行してきた。そうした職員の職務遂行に応える給与勧告が人事院には求められていたが、残念なことにそうした期待を裏切るものとなった。
また、人事院勧告による国家公務員の給与引き下げ改定は、地方公務員や国公立大学等を始めとする公共的事業体など広範な業種の勤労者賃金に影響を与え、日本の社会・経済活動に少なからずマイナスの効果が働くものになる。
私たち国公立大学・高専・大学共同利用機関(以下「国立大学等」とする)の教職員は非公務員であり、賃金は労使交渉によって決定される。労使交渉においては、労働組合法に基づき、労使対等のもと法人側には誠実交渉義務が課せられている。賃金の不利益変更においては、その変更の必要性、合理性などが厳しく問わることは言うまでもない。
そもそも国立大学等の職員の給与水準は、事務・技術職員と国家公務員行政職(一)職員と比較したラスパイレス指数が低いことで典型的に示されるように、全般的に教職員の賃金水準は低いことから、これまでも賃金改善を強く求めてきた。
さらに、全大教が教職員を対象に実施した新型コロナ禍対応下のアンケートでは、遠隔による教育研究業務や在宅勤務により、教員の80%が「業務負担が増えた」と回答するなど教職員は例年にない厳しい労働環境にある。また、大学附属病院の医療従事者は、新型コロナ感染症とのたたかいの最前線で勤務している。
私たちは、法人側がこうした教職員の賃金水準やコロナ禍の労働実態をふまえて労使交渉に臨むこと、そして誠実な労使交渉をおこなうことを強く求め、全国の国立大学等の教職員組合が連携し取り組みを推進するものである。