さらなる全大教の発展を目指して
現在、世界が大きく変動しているのを感じます。ロシアとウクライナの戦争は先行きが見えず、1年半以上戦闘状態が続いています。つい先日、中国の大手不動産会社がアメリカで破産申請をしました。世界経済に対する影響が心配です。異常気象は世界中で起こっており、世界各地で山火事が起こっているというニュースが聞こえてきているところです。
私たちは、国公立大学・高専・大学共同利用機関の教職員による労働組合です。労働組合としての活動の目的は、自分たちの労働条件・労働環境の改善です。それは法律的には労使で話し合って決めるものとなっています。しかし、まわりの状況、具体的には日本の国の状況、ひいては世界の状況とは無縁ではありません。むしろ、それらまわりの状況に労使共に振り回されているというのが実態です。
私は、12年ほど前から、全大教の教員部に関わってきました。教員部は教員の労働条件・労働環境を取り扱います。私が最初に教員部に関わった時、一番問題と言われていたのは基盤的な研究費が削減されているということでした。競争的資金を取らないと、まともな研究ができないという状況でした。5年ほど経った時、一番問題と言われていたのは研究時間が取れないということでした。基盤的研究費はどんどん削減されるので、競争的資金をとって研究しようとするのだけれども、そのための書類作成やあるいは学部改組等の仕事で時間がなく、競争的資金をとっても研究する時間が確保できないということでした。そして、今、教員の人たちからは人員不足でまともに教育もできないという悲鳴が上がってきています。経費節減で常勤の教員が減らされ、研究はおろか教育にまで支障がでているというのが現状です。大学の労働環境は悪化の一途を辿っているのです。
なぜこのように大学の環境が悪化の一途をたどっているのか。それは国の大学政策が1番の原因なのではないでしょうか。大学の執行部がもっとがんばっていれば、もう少し大学の状況の悪化の程度がマシであったという可能性はあります。しかし、根本的なところは国の大学政策にあると考えます。さらに、日本という国も世界の潮流と無縁ではいられません。
全大教は加盟単組の組合員の減少が大きな課題の一つとなっていますが、労働組合の組織率の低下も世界的な傾向です。とはいえ今の社会構造は労働組合の存在を前提にしたものです。現在の社会構造を維持しようとするならば、労働組合は必要不可欠な存在です。
私たちは広い視野をもって、組合活動を行う必要があると思います。そして、何より組合活動は楽しいです。話のわかる人と話ができることの楽しさ、意見の違う人と議論して落とし所を探る楽しさ、共感し合える喜び、これらを大切にしながら、さらなる全大教の発展を目指して、全大教委員長という責任を真摯に果たしていく決意を表明して、あいさつとさせていただきます。
全大教中央執行委員長 笹倉 万里子
(鳥取大学教職員組合)