2020年10月30日
岐阜大学職員組合 中央執行委員会
政府による日本学術会議の会員任命拒否に抗議する
2020年10月1日に、日本学術会議の会員選出にあたり、同会議の推薦した会員候補6名について、日本政府が任命を拒否したことが明らかとなった。この問題について、関係諸団体から多くの抗議声明が出され、拒否理由の説明および拒否の撤回が求められているが、政府にそれに応じる様子はない。他方で、政府は学術会議の改組に着手し、政府方針に沿った提言を行う組織への転換が試みられつつあり、いまだ問題が終息に向かう気配はみられない。
私たちは、今回の政府の行為は、以下の二点において問題があると考える。
第一は、今回の会員任命拒否は、特定の思想信条への介入である疑いが濃厚だという点である。というのも、任命を拒否された6名は、いずれも政府の打ち出す政策に対し批判的な立場から発言することを辞さない研究者であった。しかも政府は、この点が任命拒否の理由であることを公式には認めておらず、その事がかえって自由な学問研究を萎縮させることが懸念されている。これは、学問の自由を立脚点とする大学に属する職員組合として見過ごせない問題である。
第二は、時の権力からの独立性を求められる組織において、その独立性の根幹をなす人事権が侵害されたという点である。政府は、今回の任命拒否について、日本国憲法第15条第1項に基づく人事権行使であると説明している。この憲法条項の立法意図は、国民が公選制等を通じて為政者を統制することにあると思われるが、政府はこれを、政治家が公務員を統制するための条文だと解釈し、任命拒否を正当化しているのである。この論理が通用するのであれば、政府による人事を通じた介入は、日本学術会議以外のあらゆる公的機関に対しても可能となる。国立大学についても、法人化以後も国立大学職員がたびたび公務員と同等の扱いをされてきた歴史を踏まえるならば、同様の人事介入が行われる可能性がある。その意味で、今回の問題は、公務労働の職場自治全般への侵害であり、またそれと同時に大学自治をも脅かすものである。
以上の理由から、岐阜大学職員組合中央執行委員会は、任命拒否に抗議するとともに、その撤回を求める。
以上