2020年10月22日
和歌山大学教職員組合執行委員会
菅義偉内閣総理大臣の責任に基づいて、日本学術会議が第25期新規会員候補として推薦した105 名のうち 6 名の任命拒否を行ったことが明らかになりました。この行為は、1983年5月12日に参議院文教委員会における日本学術会議改正案についての質問に対して中曽根康弘内閣総理大臣(当時)が行った政府答弁「実態は各学会なり学術集団が推薦権を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障されるもの」に示される法解釈に明瞭に違背するものです。任命拒否にいたった経緯や理由の有無にかかわらず、立法府における審議と条文改正を経ないままの恣意的運用に強く反対します。
加えて、この間、任命拒否の経緯および理由は十分に説明されておらず、したがって結果的に、1983年当時に政府によって保障された「学問の自由独立」が現在もなお保障されているのかどうかということについて、ある種の疑いが生じていることは間違いありません。日本の社会・学術界に生じたこの疑念は、日本学術会議法に定められた同会議の独立性を脅かしかねないものであることはもちろん、研究者らが純粋に学問的見地から様々な提言等の活動をすることを萎縮させ、学問の発展を妨げ、民主主義社会を支える根幹的価値である「自律性」や「多様性」の否定に連なることが容易に推定されます。
したがって、和歌山大学教職員組合は、内閣総理大臣に対して以下のことを強く要望いたします。
1、1983年5月12日に参議院文教委員会で行われた政府答弁に基づき、上記6名の任命拒否を撤回し、すみやかに任命すること。
2、日本学術会議が推薦した6名の会員候補者について、任命を拒否した理由および経緯を明らかにすることを通じ、結果的に国権の最高機関たる立法府の権能を侵害するに至ったことを反省し、再発防止のための措置を講ずること。
3、本邦において、「学問の自由独立」が価値の揺るがぬものであることを確認すること。