人事院は、本日、2021年度の国家公務員給与についてボーナスを4.45月分から4.3月分に0.15月分引下げる(期末手当の0.15月分引下げ)勧告をおこなった。これが実施されると行政職(一)表適用職員の年間給与は平均62,000円減額となる。
「国公立大学・高専・大学共同利用機関で働く教職員の賃金改善を求める
~2021年人事院勧告を受けて~
2021年8月10日
全国大学高専教職員組合中央執行委員会
人事院は、本日、2021年度の国家公務員給与についてボーナスを4.45月分から4.3月分に0.15月分引下げる(期末手当の0.15月分引下げ)勧告をおこなった。これが実施されると行政職(一)表適用職員の年間給与は平均62,000円減額となる。
人事院は2014年以降、月例給とボーナスの引上げ勧告をおこなってきたが、昨年と今年の勧告は、新型コロナ感染症の影響による景気の後退、民間企業の業績悪化を反映し、2年連続のボーナス引下げ勧告となり累積で0.2月分が引下げられることになった。
国家公務員、地方公務員等は新型コロナ感染症拡大防止のため、自らの感染防止を徹底しながら精神的にも非常に厳しい中で職務を遂行してきた。そうした職員の職務遂行に応える給与勧告が人事院には求められていたが、残念なことにそうした期待を裏切るものとなった。
また、人事院勧告による国家公務員の給与引き下げ改定は、地方公務員や国公立大学等を始めとする公共的事業体など広範な業種の勤労者賃金に影響を与え、日本の社会・経済活動に少なくないマイナスの効果が働くものになる。新型コロナ感染症禍において飲食・旅行・娯楽をはじめとする個人消費部門の産業がかつてないダメージを受ける中、今回の勧告は、情勢適応の原則があるとしても、ポスト・コロナの経済立ち直りの足を引っ張る悪手と言わざるを得ない。
私たち国公立大学・高専・大学共同利用機関(以下「国立大学等」とする)の教職員は非公務員であり、賃金は労使交渉によって決定される。労使交渉においては、労働組合法に基づき、労使対等のもと法人側には誠実交渉義務が課せられている。賃金の不利益変更においては、その変更の必要性、合理性などが厳しく問われることは言うまでもない。
そもそも国立大学等の職員の給与水準は、事務・技術職員と国家公務員行政職(一)職員と比較したラスパイレス指数が低いことや、教員については人材獲得で競合する私立大学と比較して給与水準が低いことが言われているように、改善が求められて久しい状況にある。
さらに、大学附属病院の医療従事者は新型コロナ感染症から国民のいのちと健康を守る最前線で勤務が続いている。国立大学等の現場ではオンライン授業やリモートワークから現場での対面業務に戻りつつあるが、コロナ禍を契機にオンラインと対面の両対応が求められる機運がみられ、そのために生じる業務上の手間や学生へのケアの必要性は増加しており、ポスト・コロナにおいても教職員の負担が減じる要素は見当たらない。
私たちは、法人側がこうした教職員の賃金水準や新型コロナ感染症禍の労働実態をふまえて労使交渉に臨むこと、そして誠実な労使交渉をおこなうことを強く求め、全国の国立大学等の教職員組合が連携し取り組みを推進するものである。