私たちが示した対案とはかけ離れたものです。現在では、高専機構第2期中期目標の教育に関する目標に教育課程の編成等と明記され、その取り組みが進められています。
課題としては、機構本部に待遇改善・労働条件の改善を含めた私たちの対案を踏まえた「高専の在り方」の政策を策定させることです。この取り組みは、2008年度の技術職員の組織化において成果を上げることができました。
全大教高専協議会は、各単組からの要望事項を基に機構本部との交渉を行っていきます。一方、単組においても可能な取り組みを行うとともに、独自要求や統一上申運動、全大教などからの署名活動を行い、それを全大教に集約していかねばなりません。署名など現場の声を反映したものは、機構本部との交渉では強力な武器となります。
全大教高専協議会は、機構本部との交渉を強めるとともに、全大教の運動方針を基本に、高専独自の課題について単組における取り組みへの援助や活動の交流、要求や運動での全国的な取り組みを進めます。また、要求書や対案の提出、交渉による待遇改善・労働条件の改善を図るとともに、高専の発展と自治の確立をめざし取り組みを進めます。
具体的な課題と取り組みは以下の通りです。
1) 労使協議会の活用
全大教と高専機構本部は、2010年12月に中央労働委員会の斡旋の下、労使協議会の設置で合意しました。労使協議会においては、教職員の賃金問題、特に人事院勧告に準拠した不利益変更が行われた際に、基準日を遡って適用する不利益遡及について今後も協議を行います。
2) 労働協約の締結と機構との交渉
労働協約の締結については、2006年9月13日の機構本部との交渉で、校長へ権限委任がされていることを確認しています。今後も各単組で必要な労働協約締結を進められるよう取り組みます。
また、全大教と機構本部は、「各高専における紛争の調停に関する労働協約」を締結しております。学校当局とトラブルが発生し、当事者での解決が難しい場合、当協議会に相談してもらえれば、問題解決に取り組めます。
3) 賃金について
高専は、ラスパイレス指数最低の独立行政法人に属しています。機構本部はラスパイレス指数の格差と改善の必要は認めていますが、具体的な改善は遅々として進んでいません。にもかかわらず機構本部は、2009年12月と2010年12月、2012年5月の給与規則改定に際し、ラスパイレス指数の格差を放置したまま、俸給表引き下げだけは何ら考慮することなく他の独立行政法人と横並びに引き下げを強行しました。全大教高専協議会としては実に受け入れがたい措置であり、最低でもラスパイレス指数が国家公務員並みの水準になるよう、引き続き要求交渉を強化します。
4) 超過勤務手当
2011年4月より、機構本部は超過勤務手当に係わる予算を各高専に配分せず、機構本部にて一括して取り扱うこととしました。にもかかわらず、現在の超過勤務手当の支払い状況は、各高専における労使間の力関係を反映して、比較的適正に支払われている高専がある一方で、勤務実態が無視されてほとんど支払われていない高専があります。全大教高専協議会では、各労働者からの超過勤務手当請求が機構本部の超過勤務手当担当セクションへ至るまでの間に窓口規制が生じない形で、全事業場に共通した超過勤務等手当の支給対象業務の統一及び請求手続き方法が整備されることを機構本部に求めていきます。
5) 再雇用
再雇用については、2009年4月1日から労使協定が必要となっています。希望者全員が再雇用されるよう、再雇用の希望が表明しやすい環境作りに取り組みます。
6) 人件費削減、人員削減、事務部組織改組
機構本部は、毎年の運営費交付金1%削減を当然のこととして受け入れ、また、5%人件費削減の名の下、教員を含めた大幅な人員削減を各高専に実施させました。
機構本部は、2008年10月から、業務改善目標と達成報告による勤務成績評価を事務職員に試行してきましたが、労働側に何の断りもないまま、2011年4月より正式実施を各高専に通知しました。これに対して全大教高専教議会では抗議を行っているところです。この問題は事務職員の差別待遇につながる恐れがあり、さらには技術職員や教員への拡大も懸念されます。今後、強く機構本部の姿勢をただしていく必要があります。
7) 教員の高専間交流
機構本部が教員の力量を高め、各校の教育と研究の向上を図り活性化するためとして設けたのですが、交換教員の決定方法や受け入れ校によって異なる業務量など、制度を推進してゆく上で交流の半ば強制という形で実施されています。
全大教高専協議会ではこの事に機構本部へ抗議を行い、本部に「各高専に強制するものではない。交流教員を出せなくても問題はない」と回答させました。
また、人事交流により学科の教員が減少する、専門分野の違いにより補充できない場合に、残された教員の業務負荷増大を防止するため非常勤を雇い入れる等の対応を行うこと、またその際の経費を機構本部で負担することを要求する必要があります。さらには交流者が元の勤務地で宿舎を借りていた場合に、交流先で宿舎を借りることができず、自己負担で民間の賃貸住宅等に入らなければならない等の教員人事交流独自の利益が生じる可能性が多くあり、今後それらの状況を調査・整理し機構本部に提案していく必要があります。
8) 学生サービス(学寮当直・学生指導・課外活動指導)
学寮当直については、当直の実態から管理当直とすることには無理があることを機構本部に引き続き指摘し、勤務条件の改善を求めます。また、学生の気質の変化や学生の要望などにあわせて、学生サービスの整理縮減や必要な教職員などの新たな配置を機構本部に提案します。
9) 教育・研究条件の充実
高専が若年層からの技術者教育を行う高等教育機関としてふさわしい定員、予算、施設、設備など教育・研究条件を充実させるよう、機構本部や文部科学省などに働きかけを行うとともに、各単組へ可能な援助を行う取り組みを進めます。
10) 待遇改善
高専機構のラスパイレス指数は、独立行政法人の中で最低となっています。にもかかわらず機構本部は、2009年と2010年、2012年の給与規則改定に際し、人事院勧告準拠と独立行政法人横並びを主張して、再三にわたって我々の俸給表を引き下げました。全大教高専協議会では引き続き最重要の課題として、ラスパイレス指数の改善を要求するとともに、「独立行政法人横並び」からの脱却を目指していきます。
11) 過半数代表者との連携
過半数労働者代表と連携を強め、全国高専労働者の要求の前進を図るとともに、全大教加盟の取り組みを進めます。
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