2020年10月15日
岡山大学職員組合執行委員会
2020年10月1日、政府は日本学術会議が推薦した会員候補者中 6名を新会員に任命しませんでした。このことに関しては各所から違法の可能性が指摘されています。これに対し、10月5日、菅首相は内閣記者会のインタビューにて任命拒否は適法であるとの見解を示していますが,任命拒否の理由は明らかにしていません。さらに「学問の自由とは全く関係ない」「(会議の)総合的、俯瞰的活動を確保する観点から今回の任命について判断した」「日本学術会議は政府の機関であり、年間およそ10 億円の予算を使って活動しており、任命される会員は公務員の立場になる。」と述べたと報道されています。
違法の可能性の指摘に対し、ただ「適法」と述べるだけでは何の反論にもなっていません。権力側が「学問の自由とは全く関係ない」といえば学問の自由が守られるのかといえば、そうではないことはこれまでの歴史が証明しています。「(会議の)総合的、俯瞰的活動を確保する観点」からなぜ任命拒否になるのか全く論理の筋道が見えません。10月5日の菅首相の説明では任命拒否は行政が法に基づかない判断をしたとしか理解できません。今回の任命拒否については
① 現行学術会議法においても、同法7 条2 項および17 条の定めについて、法の趣旨・目的(1 条)を考慮し、この趣旨・目的に基づいてその書きぶり(「推薦に基づいて」という「縛り」をおいていること(7 条2 項)、「優れた研究または業績がある科学者」のみを推薦候補者選考の要件としていること(17 条))をみれば、任命権者である内閣総理大臣には、新会員任命に際して自ら独自に別途判断しうる裁量権は与えられていないこと。
② 現行学術会議法であっても、それが内閣総理大臣の任命に際して「新学術会議の推薦に基づく」ことなく自ら独自に別途判断できる裁量権がないとすれば、同法7条2項および17 条に基づく会員の任命に関する個別の運用に際しても、「新学術会議により推薦された候補者」を拒否する運用はできず違法であること。
が確認できるはずです。
日本は法治国家であるはずです。法律の解釈を行政レベルで変更され、しかもその理由がきちんと説明されない様では、法治国家の根幹がゆらぎます。大学法人も労働組合もその役割を法律で定められており、それにしたがって活動しています。その根幹たる法の解釈を行政が勝手に変更するのを認めてしまったらわたしたちの活動の根幹が脅かされかねません。
私たちは、日本学術会議が出した「第25 期新規会員任命に関する要望書」を支持し、政府による日本学術会議会員の任命拒否に強く抗議します。6 名の会員候補者の任命拒否をすみやかに撤回することを求めます。そして、どのような理由で任命拒否が行われたかを国会で納得のいくまで審議することを求めます。
岡山大学職員組合緊急声明.pdf