緊急事態宣言の対象地域における試験実施は特に、受験生にとっても試験従事者にとっても多大な緊張が強いられる状況です。受験生にとって重要な試験機会を公平に実施するとともに、受験生と試験従事者の安全を最大限守るために最大限の努力を行うことが必要になっています。
「国立大学附属病院に関する要望書」
2021年4月15日
文部科学大臣
萩生田 光一 殿
全国大学高専教職員組合
中央執行委員長 鳥畑 与一
病院協議会議長 長谷川 信
貴国立大学附属病院における医学・医療の充実・発展と、教職員の労働環境改善に対する貴職の日頃のご支援に心より敬意を表します。
今回の新型コロナウイルス感染症の拡大は、医療現場の厳しい実態を改めて鋭く浮き彫りにしています。労働環境の変化や感染リスクなどを理由とした看護師の離職が増えているとの調査や、手術の延期や救急患者受け入れ制限など、通常診療との両立が困難となる実態が明らかとなるなど、医療崩壊の危機とも言える逼迫した状況が続いております。
こうした中で、医療体制の充実や医療従事者の増員・処遇改善が、コロナ禍の中でより切実な課題として国民の中に広く共有されつつあります。
コロナを乗り越え教職員が安心して働き続けられる国立大学附属病院の実現を図る立場から、また、教育・研究・医療の充実・発展と地域の医療を守る立場から下記事項について要望いたします。つきましては、引き続きご尽力のほどよろしくお願いいたします。
<要望事項>
(予算関連)
1.2021年度政府予算及び2020年度補正予算の特徴について明らかにすること。また、2021年度政府予算で計上されている国立大学附属病院収入11,954億円(280億円増)の根拠について明らかにすること。
2.新型コロナウイルス感染症による病院経営への影響(2020年度の病院収入)に関して、減収分の補填や支援策について明らかにすること。
3.国立大学附属病院の使命を果たすために必要な人件費や施設・設備等の予算拡充を図ること。また、債務償還経費の一層の軽減措置を講じること。
(賃金・労働条件関連)
1.新型コロナウイルス感染拡大に伴う労働環境の変化や感染リスクなどを理由に、看護師の離職が問題となっていますが(看護協会調査)、国立大学附属病院の労働環境の把握に努めるとともに、離職を防止する支援策を講じること。
2.新型コロナウイルス感染症対応に従事する医療従事者に、そのリスクや負担増(精神面含む)に見合った手当が支給できるよう支援を行うこと。なかでも、国立大学附属病院が活用することのできる政府・自治体による種々の病院支援のための補助金等を周知し、その活用を促すこと。
3.国立大学附属病院の実情に応じた教員(医師)、看護職員、医療技術職員、医療事務職員の専門性を踏まえ、賃金水準・手当等を改善するための条件整備を図り、各大学の改善努力を支援すること。
4.国立大学附属病院の業務を支える教職員の雇用の安定を図ること。特に、非常勤採用や有期雇用をなくし、恒常的業務に従事する教職員の常勤化が図られるよう支援を行うこと。
5.安全・安心の医療・看護の確立に向けて、新人教育に必要な看護師配置、長時間夜勤や月8日(3交代制の場合)を超える夜勤の解消、十分な勤務間隔の確保、年次休暇の完全取得、長時間に亘る時間外労働の解消等、夜勤・交代制労働に従事する職員の労働の過重性なども踏まえた改善が図られるよう支援を行うこと。
6.育児短時間勤務制度の普及等により、子育てしながら働き続けられる環境整備が図られる一方、夜勤可能人員の不足から夜勤回数が増える傾向が顕著となっており、制度が円滑に運用できる体制整備に向けた支援を行うこと。
7.「看護職員確保法」の主旨、厚労省の「5局長・局長通知」および日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」などを活用した勤務環境改善に努める大学を支援すること。
8.国立大学附属病院に働く教職員の労働時間管理については、厚労省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に沿った適正な把握等が各大学において行えるよう、また、働き方改革における長時間労働の是正や労働時間把握に適切に対応できるよう支援を行うこと。
9.夜勤交代制労働における労働環境の改善を図るため、1日かつ1勤務の労働時間8時間以内を基本に、労働時間の上限規制や勤務間のインターバル確保、夜勤回数の制限など、労働環境改善のための規制を設けること。また、夜勤交代制労働者の週労働時間を短縮すること。
以 上