2020年10月12日
電気通信大学教職員組合執行委員会
10月1日に開催された日本学術会議総会において、会議として推薦した105名のうち、6名が菅首相によって任命されず、その件について政府から理由の説明は一切されなかったことが明らかにされています。
日本学術会議法では、学術会議会員は内閣総理大臣が任命する(同法第7条)とされているものの、1983年の政府見解ではあくまで学術会議の推薦に基づいて(同法第17条の定め)行われる形式的な任命権行使であるとしています。これは学問の自律性を尊重した政府の姿勢ですが、この経緯について菅首相は政府見解を変更していないと説明し、一方で憲法15条にある公務員の任免権を理由とした上で、「人事案件」のため任命拒否理由を説明できないとしています。
しかし10月9日、菅首相は日本学術会議からの105名の推薦者リストを見ていないと説明しています。これは「推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」という日本学術会議法第7条に明らかに反します。このことが事実であれば、菅首相は他人まかせで6名を除外したことになり重要な問題を含んでいます。菅首相は「総合的俯瞰的観点から判断」と主張する以前に、自ら法律に反する任命をしており、改めるべきです。
日本学術会議法の前文には、「平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命」とあります。同2条3条には、「日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関」であり、「独立して職務を行う」とあります。
この任命拒否問題についてHNKは、国際的なジャーナルであるNatureが、学問の自律性と自由を守るという何世紀にもわたって存在してきた原則を、日本の政治家が後退させようとする兆候があるとした上で、「日本の菅総理大臣が、政府の科学政策に批判的だった6人の科学者の任命を拒否した」と紹介している(10月8日号)、と報道しています。世界は既に、日本の政府の姿勢に対し疑問符を付けるに至りました。
私たちはこのような事態を憂います。日本学術会議の国内外の役割を尊重し、政府による介入をせず、日本学術会議からの「新規会員任命に関する要望書」(10月8日付)に真摯に対応され、会員候補者全員を任命するよう求めます。
電気通信大学教職員組合執行委員会声明