2020年10月13日
静岡大学教職員組合
政府による日本学術会議会員の任命拒否に抗議し、明確な説明を求めると共に、推薦通りの任命を求めます
10月1日に開催された日本学術会議総会で、会議が新会員として推薦した105名のうち、6名が菅首相によって任命されないという、前例のない事態が起きたことをめぐっては、各種学術団体・教職員組合からも撤回を求める声が相次ぎました。これに対して政府および与党自民党からは幾つかの反応がありましたが、いずれも投じられた疑問を解消するものにはなっていません。
日本学術会議は、全分野の科学者を国内外に代表する機関であり、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として、1949年に設立されています。その役割には政府に対する政策提言の他、国際的な活動等が含まれています。
管首相らの説明にあるように、確かに最終的な任命は内閣総理大臣が行うことになっています。しかしながら1983年の政府国会答弁で示されていた、あくまでも形式的な発令行為であるという法解釈が存在するにもかかわらず、2016年には補欠人事において推薦された者の任命を認めず、2018年には国会で審議することなく内閣府と法制局で法解釈の変更を行った上、今回の任命拒否に至っており、この間法解釈を改める必要性について公の場で議論が行われていないだけでなく、いずれの人事案においても、なぜその人物の任命が認め得ないのかについての明確な説明が、現在に至るまでありません。
今回私たちが問題と考えるのは、以下の点です。
(1)内閣総理大臣による任命権には、そもそも拒否権も含まれているのか。少なくとも1983年の国会答弁は「含まれていない」と解釈されるものであった以上、国会で議論することなく2016年に行った「解釈の変更」は、法的に有効なのか。拒否権が含まれているという解釈が有効でなければ、そもそもこの任命拒否は違法行為になる。
(2)仮に拒否権が含まれているとしても、日本学術会議が推薦した者への任命をあえて拒否する以上は、やむを得ない明白な理由が存在することを、政府は説明できなければならない。理由を明らかにせずに「権利があるから」と任命を拒否するのであれば、それは国家権力の恣意的な行使であり、認められるものではない。
(3)政府が明らかにした理由が、その候補者が任命された場合に日本学術会議の適切な運営を明らかに妨げる種類のものではなかった場合は、政府から独立して職務を行う機関に対する過剰な干渉であり、認められるものではない。
現在に至るまで、政府および与党自民党からの説明は、以上の問題に対して納得のいくものとはなっていません。
私たちは、学術研究・教育に携わる機関の一員として、詳細な説明もないまま行われた今回の介入に抗議すると共に、政府・与党より受け入れ可能な説明がなされないのであれば、6名の任命拒否を撤回しするよう要求します。
静岡大学教職員組合声明